NT-proBNPとは?
・平成26年より検査項目として加わった比較的新しい検査項目です。
・BNPと同じくBNP前駆体から分解されて生じるホルモンです。
・心不全患者で著明に上昇し、診断精度もBNPと同等かそれ以上と評価されています。
・NT-proBNPは、BNPの前駆体proBNPのN末端フラグメントです。
・心筋細胞の負荷増加により、proBNPの産生が促進され、BNPとNT-proBNPに切断されて、血中に分泌されます。
・BNPは利尿作用などの生理活性を有しますが、NT-proBNPは生理活性を有しません。
・NT-proBNPの臨床的意義はBNPと同様となっています。
・血中における安定性はBNPより良好で冷蔵保存でよく、血清の生化学で検査できます。
NT-proBNPの基準値
・125pg/mL以下
採血する際の注意点
・利尿剤など体液量に影響を及ぼす薬の服薬や、食塩摂取量などで検査値に影響を受けます
健康であればNT-proBNP値は低いですが、心臓や体液バランスに問題があればではその重症度に伴い増加します。
NT-proBNP値が上昇する疾患
慢性心不全、急性心不全、心筋症、心肥大
糖尿病、高血圧などにおける心不全の早期発見・治療に有用
NT-proBNPの心筋バイオマーカーで、高リスク、無症候心不全等の早期発見ができることにより、糖尿病、高血圧などにおける心不全の早期発見・治療の基準にも活用できます。
NT-proBNPの採血管は赤茶
・冷蔵
・真空採血量3mL
・採血管は赤茶の血清のプレーン管
NT-proBNP算定について
NT-proBNPは、心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月1回に限りのみ算定できます。
ANP、BNPとNT-proBNPの3つの算定について
・脳性Na利尿ペプチド(BNP)
・脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)
・心房性Na利尿ペプチド(ANP)
このうち2項目以上検査した日から1週間以内に追加で検査した場合は、そのうち1つだけしか算定できません。
*NT-proBNP:N-terminal pro-brain natriuretic peptide