摘便は、日常の排泄ケアでよく使われる看護行為です。
下剤、座薬、浣腸でも反応便がなく、直腸で便が詰まっている場合、どうしても硬便を掻き出す必要があるときに摘便が行われます。
看護師として、手順と注意点をしっかりと理解し、安全に行えるようにしましょう。

必要物品

手袋(2重にする)、潤滑剤(キシロカインゼリーなど)、オムツ、ラバーシーツ、新聞紙、便器、尿器(男性の場合)、ビニール袋、トイレットペーパー、お尻拭き

手順と注意点

1:患者に、摘便の必要性を説明します。

2:オムツを敷く。
  排便で汚れないように、オムツ、ラバーシーツ、新聞紙などを敷きます。

3:体勢を整える
 パジャマ、ズボン、下着、を外します。
 臀部を出し、左側臥位をとります。
 膝を軽く曲げ、バスタオルなどで前方を隠します。
 男性の場合は、尿器を当てておきます。

4:作業しやすいように物品を整える
 ビニール袋、トイレットペーパー、お尻拭きなどを、使いやすい場所に置きます。

5:手袋をはめ、潤滑剤をつける
 手袋は、2重に付けます。(1枚だと、破けてしまったり、匂いが指に移って、しばらく取れないのを防ぐため)
 利き手の人差し指に潤滑剤をつけます。

6:声かけをしながら、肛門に指を入れる
 患者に、ゆっくり息を吐くように伝え、人差し指の第2関節までを、ゆっくり肛門に挿入します。

7:硬便を掻き出す
 ゆっくり、粘膜を傷つけないように、硬便を掻き出します。一気に掻き出そうとしないで、少しずつ、便の塊を崩すように掻き出します。
 便が上の方にある場合は、挿入していない方の手で、お腹を押しましょう。
 奥まで指を入れたり、無理に掻き出したりすると、出血や腸穿孔を起こす場合があるので、気をつけましょう。
 硬便が取れると、詰まっていた便が、次々出てくる場合があります。
 その場合は、仰臥位にして便器を差し込むかオムツを当て、残っている便を出します。

9:お尻をきれいにする
 便が出たら、トイレットペーパーやお尻拭きなどで、便をきれいに処理します。
 ズボンなどをはかせて、体位を整えましょう。

10:あとかた付けをする
 ビニールに、使用したものを入れ、捨てましょう。

出血や穿孔は、命にかかわる事態になりかねません。十分に注意し、安全に行えるように気をつけましょう。