カテコラミンとは?

カテコラミンは緊急時には必須の薬剤ですのでしっかり役割と使い分けの理解をできるようにしときましょう。
ホルモンと聞くとピンとこない方もいるかもしれませんが、成長ホルモンなどのようなもので刺激されると発生し、次の作用(働き)を刺激する役割のある起爆剤のような物質のことをいいます。
副腎や交感神経・脳細胞から分泌されるホルモンで、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどがあります。

特にカテコラミンは命にかかわるような「心収縮したり、心泊数あげたり、末梢血管収縮させたり」というような役割をする働きで心停止した際にもつかいますのでとても重要な薬剤といえます。
あるストレスが発生すると、まず大脳皮質で知覚され、視床下部に伝えられた後、次の2つの経路に分かれます。

大脳皮質-視床下部-交感神経-副腎髄質→カテコラミン分泌
大脳皮質-視床下部-下垂体-副腎皮質→コルチゾール分泌

この、カテコラミンとコルチゾールが、さまざまなストレス反応のきっかけとなる重要な物質がカテコラミンなのです。

カテコラミンの作用は?

ドパミン、ドブタミン、アドレナリン、ノルアドレナリンの4種類のカテコラミンの薬剤があります。

それぞれのカテコラミンはα受容体、β受容体に作用します。

・α1受容体は心筋や平滑筋などの細胞膜に分布
・α2受容体は交感神経終末に存在。
・β1受容体は主に心筋に分布
・β2受容体は血管や気道に分布する。

すなわち
α作用 →末梢血管を収縮させる作用
β1作用→心拍数を増加させ、心収縮力を強める作用(陽性変力、陽性変時作用)
β2作用→末梢血管の拡張作用と気管支拡張作用があります。
ドパミンは受容体に作用
             →腎血管拡張→腎血流量アップ→利尿作用
・5~10γ(中容量)ではβ1作用優位、β>α
             →心収縮↑、心泊数↑、末梢血管収縮
ドブタミンは
・β1刺激による心拍出量(CO)の増加が主な作用。ドパミンよりも心拍数の上昇が少ない。
・β1作用により心収縮能が上昇するが、β2作用では末梢血管を拡張
    →血圧を上げずに心収縮能を上昇させることができる。肺うっ血にも著効。

カテコラミン薬剤の使い分け

カテコールアミン製剤は、それぞれのカテコールアミン製剤が交感神経のα・β1・β2のどこに優位に作用するかによって、特徴が出てきます。

α作用・・・末梢血管収縮作用
β1作用・・・心収縮力増大作用
β2作用・・・末梢血管拡張作用

【1】アドレナリン(略語:AD/商品名:アドレナリン)

アドレナリンのアンプル(略語:AD/商品名:アドレナリン)の画像です

【2】ノルアドレナリン(略語:NAD/商品名:ノルアドレナリン)

ノルアドレナリンのアンプル(略語:NAD/商品名:ノルアドレナリン)の画像です■特徴
β1(心筋収縮力増大)作用に加えてα(末梢血管収縮)作用が強く、血圧上昇に著明な効果があるカテコールアミン製剤です。 

【3】ドーパミン(略語:DOA/商品名:イノバン・カコージン・カタボン・プレドパなど)

ドーパミンのアンプル(略語:DOA/商品名:イノバン・カコージン・カタボン・プレドパなど)の画像です
■特徴
α(末梢血管収縮)作用が優位で、β1(心収縮力増大)作用もある程度持つという特徴があります。少量投与では腎血流の増加作用があるのも特徴で、利尿効果にもつながります。多量投与では、α(末梢血管収縮)作用によって血圧上昇作用が増します。 

 【4】ドブタミン(略語:DOB/商品名:ドブポン・ドブトレックスなど)

ドブタミンのアンプル(略語:DOB/商品名:ドブポン・ドブトレックスなど)の画像です
■特徴
β1(心収縮力増大)作用が優位なカテコールアミン製剤です。心筋の酸素消費量を増大させず、心収縮力増大作用のみ発揮するため、心不全に効果的です 

カテコラミン3分画とは?

・カテコールアミンは、カテコール骨格を有するアミン系のホルモンです。
・アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3 種類があり、交感神経および副腎髄質から分泌されます。交感神経からはノルアドレナリンが、副腎髄質からはアドレナリンが主に放出されます。カテコールアミンの分泌は、低血糖、出血、酸素欠乏その他さまざまなストレスにより引き起こされます。
・アドレナリンは、心臓賦活作用、糖や脂質の代謝に関与し、ノルアドレナリンは血圧上昇作用を有します。ドーパミンは、ノルアドレナリンの前駆体であるとともに、中枢神経、腎、循環器、消化器系に対し特有の作用を有しています。 各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
検査として有用なのは,カテコールアミンが過剰に産生・分泌される疾患である褐色細胞腫および交感神経芽細胞腫を疑った場合であります.褐色細胞腫の臨床症状は多彩であり,顔面蒼白,動悸,頻脈,発汗,高血圧などの典型的な症状以外にも悪心,嘔吐,腹痛などを主訴とすることも在ります。褐色細胞腫組織からのカテコールアミン分泌は持続的とは限らないので,必ずしも異常高値とはならない.
血中カテコールアミンは速やかに再吸収や代謝,硫酸抱合などを受けてしまうので,24時間蓄尿を行い尿中カテコールアミンを測定する.血中メタネフリンなどの測定を行う 

カテコラミンの副作用について

カテコラミンの副作用で恐ろしいのが術後心不全と呼ばれるものです。
カテコラミンは血圧を上げたりと心臓に強く働きかけます。

だから心臓への負担が大きくなり心不全を起こす可能性があるわけです。

あとカテコラミンの中でもドパミンは不整脈を起こしやすいと言われています。
他にもカテコラミンの副作用として脱水が起こることもあります。
①アドレナリン
・平滑筋に対しては→気管支拡張
・不整脈を誘発しやすい
②ドパミン
・副作用
→頻拍性不整脈
→虚血性肢壊死
→悪心・嘔吐
→消化管運動障害(麻痺性イレウス)
③ドブタミン
・副作用は特になし
④ノルアドレナリン
・後負荷が増大するため心不全や心疾患などでは使いにくい

心収縮力増強作用、腎血流増加作用、血圧上昇作用を有します。心臓に対する作用は主にβ受容体への直接作用に基づくものとされています。心臓のβ受容体を介して心収縮力、心拍出量を増加し、また冠血流量も増加させるが、心収縮力に比べて増加の程度は少ないです。 高用量ではα受容体を刺激し、血圧を上昇させます。また末梢性に低用量からドパミン受容体を介して腸間膜血流、腎血流等の内臓血流量を増やし、更に糸球体濾過値を増加させてNa利尿を起こします。 

カテコラミンの作用機序について

カテコラミンの基本的見解として、
DoAは血圧上昇に加え、利尿作用も期待したい時に使う。
DoBはストレートに心拍出量を上げたい時に選択。But!!DoBは血圧をむしろ下げることになるため、注意が必要。(β作用=末梢動脈拡張作用があるから!!)双方を意識して併用したい。
また、他の薬剤(ミリスロールや利尿剤)も使い前負荷を軽減しながら使う。
NADは心筋の酸素消費量が一番高いと考え、心筋保護したい時(AMI後、心不全や術直後など)には第一選択にはしない。
中止時は漸減することとし、急には止めない。(少量時こそ慎重に。)
 イノバン
・ 作用機序:強心作用と利尿作用、血管収縮作用
ドブックス

・ 作用機序:心臓選択的作用。
ノルアドレナリン
・ 作用機序:強いα作用。末梢血管を収縮させ、昇圧する。

カテコラミン大量投与中の患者のカテコラミンレセプターは「しっかり機能していないレセプター」が存在するらしい。んで、ステロイドによってそれらの『さぼり中』のレセプターを「再起動」させる効果があるとのこと。  

カテコラミンリリースとは?

カテコラミンリリースの代表的な5病態

○呼吸不全
 (低酸素血症・高二酸化炭素血症)

○心不全・循環不全
 (ショック・有効循環血液量低下)

○低血糖

○発熱(敗血症含む)

○疼痛や不安・運動後

これらの病態を医療面接と他のバイタルサイン·身体所見を用いて鑑別していくことが、

急性発症で大脈圧を伴う血圧上昇の患者診察では重要です 
血圧の評価ではカテコラミンリリースの代表的病態かショックかを見分ける

○カテコラミンリリースの代表的な病態
(急性で大脈圧を伴う血圧上昇)

○ショック
(乏尿や意識障害などの臓器障害を伴う血圧低下) 
生命の危機にさらされると,その身体的ストレスから人体は生理的にある反応を起こす。それがカテコラミンの放出(カテコラミンリリース)です
カテコラミンリリース
○α1刺激=末梢血管の収縮
○β1刺激=レニン-アンギオテンシン系を賦活化,心収縮力増大・心拍数増加
この2つはNaを再吸収することで収縮期圧を上昇させます。

カテコラミンと心不全の関係とは?

心不全を発症し心拍出量が低下すると、交感神経が活性化すると共に、腎血流量低下によりレニンの分泌からアンギオテンシンⅡが生成され、動静脈血管を収縮させます。
また、このアンギオテンシンⅡは動静脈血管を収縮すると共に、アルドステロンを分泌させナトリウム・水分の再吸収を促し、循環血液量の増加・静脈還流量の増加をもたらします。
 この動脈血管収縮、循環血液量の増加・静脈還流量の増加は、一回の心拍出量を増やそうとするものですが(代償機構)、収縮機能の低下した心臓にとっては、動脈血管収縮は後負荷増大、循環血液量の増加・静脈還流量の増加は前負荷増大となり、これらに打ち勝てず心不全を増悪させる因子となります。
 心拍出量を決定する因子には、「前負荷」「後負荷」「心収縮力」があります。これらの因子をコントロールする事が心不全の治療となりますが、特に上記の背景にある事を踏まえ、

(1)動静脈血管収縮
(2)循環血液量増加
の悪循環を断ち切る事が重要です。