筋肉注射の目的と効果発現時間について
・筋肉注射は、注射部位を厳密に選択するのは、筋肉内には大血管、太い神経が多いため、筋肉の短縮、拘縮を防ぐためにも、注意して注射部位を選択する。
・小児では、筋肉量が少ないため、注射部位・回数の判断は慎重に行います。
・刺入時に患者から電撃痛やしびれなどの訴えがある場合には、すぐに中止します。
・筋肉の緊張を和らげるように働きかけます。深呼吸、口をあけるなど力を抜く方法を説明する。気をそらせたり、リラックスできるように声掛けをします。また安定、安楽な姿勢を保ちます。注射部位によっては羞恥心への配慮も必要なります。
・とにかく、針が動くと痛いです。そのため、刺入した針は動かさないように、指や注射器を持つ手は動かさないようにします。注射器は、エンピツを持つように把持します。針先が動くと痛みがあるため、第5指で刺入部位の皮膚を固定します。
・刺入後、必ず血液の逆流がないことを確認したら、注射器を持つ手は動かさず、もう片方の手で内筒を引いて、血液の逆流がないことを確認します。
・薬剤を注入後に針を抜く際にアルコール綿は事前にもう片方の手の第2指、第3指に挟んで持っておくと、針を抜いた際にすぐにアルコール綿で押さえることができる。手元に準備していないと、穿刺部位から、目を離すことにより、刺入角度がずれることによって痛みが生じます。
臀部(中臀筋)への筋肉注射の針の太さと角度と針の深さと部位
・筋肉は深いので細くて短い針だと届かないことがあります。体格にあわせてみて決めましょう。筋肉は皮下組織の下に位置するため、長い注射針を使用します。
・径の太い(ゲージ数の小さい)注射針を使用します。直径が大きく、圧力がかかるため、筋肉組織に入りやすいです。23ゲージよりも22ゲージが適切と思われます。
・刀面の角度として針先の形状があり。レギュラーベベルというが、刀面長が長く鋭角で筋肉組織に入りやすいです。
・患者さんの筋肉量に応じて、針管の長さを選択します。肥満の患者の場合は脂肪量が多いため、長めの注射針を選択しなければ筋肉に届きにくいです。
・痩せている患者は筋肉量が少ないため、短めの注射針を選択します。注射針の選択はアセスメントをして行うのが望ましいです。
・臀部は成人ではよく選択される注射部位ではあるが、3歳以下の小児では殿筋の発達が不完全なため、実施はしません。
・幼小児では、大腿上部が選択されやすいです。
上腕(三角筋)への筋肉注射の針の太さと角度と針の深さと部位
・刺入角度は45度~90度程度です。筋肉内に確実に針先が刺入され薬剤が注入するため皮下脂肪や筋肉の厚さによって注射針の角度をかえます。
・筋肉に到達しているかどうか、針先は1/2~2/3程度は刺入するように針をすすめます。末梢神経を支配する神経枝が損傷されていないかを確認するために、指先がしびれていないか確認するために声掛けをして、異常がある場合はすぐに注射針を抜きます。
・部位として上腕部、肩の骨(肩峰)から、指の横幅3本分下がめやすとなります。三角筋の三角筋前半部が注射部位となります。アルコール綿でふいて左で三角筋をつかみ皮膚をぴんと伸ばします。注射器は、エンピツ持ちで垂直に穿刺します。
径の太い(ゲージ数の小さい)注射針を使います。直径が大きく、圧力がかかるため、筋肉組織に入りやすい。23Gよりも22Gが適切と考えれます。
・痩せている患者や肥満の患者では脂肪量の違いもあり、経験で針を選択するのではなく、アセスメントをして針の選択をします。
上腕と臀部はどっちがいい?
・女性など三角筋が細い人は、臀部に実施することがあります、服を脱がしたりするのも大変なため、近くに坐骨神経もあるため、腕が太ければ上腕の三角筋で実施することが主流になっています。
・臀部は姿勢としてうつ伏せになるので、今から実施する筋肉注射に不安などから、力が入りこわばったりしてしまうので、できれば、リラックスして実施できる声掛けや環境を整えることは大事です。
・小児は、3歳以下の小児は殿筋の発達が未熟なため臀部では実施しません。できれば、プレパレーションを用いて、その子の理解できる言葉の声掛けと、動くと神経損傷や痛み、筋の短縮や拘縮を防ぐためにも、他の看護師と協力して安全にできるように姿勢を保持することも大切です。
・高齢者は筋肉が萎縮し、薬剤の吸収が悪い場合もある、また痛みを感じにくいこともあるため、患者状態に注意します。認知症や脳梗塞などで、麻痺側がある場合の部位は実施できません。麻痺側ではない部位を選択します。
筋肉注射の注意点
・筋肉内には、大血管、太い神経もあることや筋の短縮、拘縮を防ぐためにも選択部位を注意する。
・刺入時、患者から電撃痛やしびれなどの訴えがあった場合はすぐに中止して別の部位を選択します。特に高齢者は訴えが少ないことを念頭におきます。
・刺入後、反対の手で内筒を引いて血液の逆流はないかの確認をする。血液の逆流があった場合は、すぐに針を抜き、別の部位に刺入する。
・血液の逆流は血管内に刺入してしまっているということ、薬効が急速に発現してしまうので、すぐに中止し、別の部位を選択しましょう。
・薬液は目で追えるぐらいのスピードでゆっくりいれます。けっこう力も必要となります。針とシリンジの間から薬液が飛び散ることもあるため、特に体格のいい人などは、抜けないように針とシリンジのつなぎ目を抜けないように保持します。
・薬剤によってが患者状態が急に変化することもあるので患者のそばにいて症状を観察することも大切です。
筋肉注射で揉む薬剤とその理由
・筋肉注射で揉む薬剤として、ポララミン注射液、硫酸ストレプトマイシン注射用液、硫酸カナマイシン注射用液があります。理由として、硬結(しこり)をきたすことがあり、注射直後は局所を十分に揉む必要性があります。筋肉が薬剤に対して過剰な反応を起こして痛くなったり、筋拘縮をおこしてしまうことがあるのでクスリをひろげておくために揉む必要があります。
・混濁注射剤や薬剤の持続作用を期待するDDS(Drug delivery system)製剤などは、薬の効き目が長続きさせるための薬が効く速度を調整しているものなので、揉むことで薬剤が早く拡散してしまいます。効果が変化してしまうので、原則もんではいけないものもあるので、注意が必要となります。
・アタラックスp注射液は組織障害を起こすこともあるため強くもまず、軽く抑える程度にとどめます。
・サンドスタチンLAR筋注用は、注射部位は吸収を早目たくないため、注射部位は三角筋の他の筋には投与しないことです。