画像:ニプロ
目的
栄養投与
適応
・消化管機能に問題はないが経口摂取が困難な状態(脳卒中後の嚥下障害)の患者
・消化管機能が安全に働き、約4-6週間と比較的短期間の挿入を必要とする場合
で、それ以上期間は胃瘻、腸瘻が適用となる
・PEG(経皮的内視鏡胃瘻造設術)の普及で、手術に造設する胃瘻、腸瘻は少なくなっているが、経鼻栄養チューブが使えずPEGも施工できないか禁忌の場合は挿入が適応になる
チューブの種類
経管栄養チューブ
成分栄養剤のチューブの径は5F以上
ニューエンテラル フィーディングチューブ コヴィデン
ENカテーテルE(経鼻経管栄養カテーテル)村中
EVA経腸栄養カテーテル ニプロ
挿入経路
経鼻から胃瘻、腸瘻に挿入される
固定方法
・経鼻:鼻翼と胸部にテープ固定
・胃瘻・腸瘻:腹壁に固定
合併症のおそれ
・気道に誤挿入
・気道誤挿入
・鼻出血
・咽頭違和感
・副鼻腔炎
・誤嚥
・鼻翼潰瘍
・誤嚥性肺炎
・中耳炎
・下痢
・便秘
・胃瘻・腸瘻の造設手術の際は開腹による合併症
挿入する胃チューブの長さが45〜55cmの根拠がある?
鼻の先端~耳朶~剣状突起までの長さは、鼻腔から胃までの長さにほぼ等しいと言われている
そのため、挿入の長さは成人で45~55cmである。
小児の場合も同様の測定方法により長さが決まる。
経鼻経管栄養チューブの挿入手順
1 患者に説明し、声がけしながら挿入する
2 臥位または座位でになってもらう
3 表面麻酔剤(キシロカインゼリー)をチューブの先端につける
4 胃にどのくらいか挿入するか決めてから、顎を少し上げ、 鼻先を押し上げるようにして片方の鼻腔より鼻腔底部に沿わせながら挿入する
5 鼻腔を通過し、咽頭まできたら唾液を飲んでもらうタイミングでチューブを挿入していく
6 咽頭を通過時は吐気やムセのような症状がでることが多いので、患者に無理させないようにタイミングをあわせながら挿入する
7 45〜55cmほどすすめ、胃内に留置する
8 経鼻胃管が胃に留置されたか確認する
①留置後、シリンジ吸引すると胃液が吸引される
②空気をシリンジで約10cc程度注入すると、気泡音が胸部ではなく上腹部で聞こえる
(聞こえづらい場合は聴診器で聴く)
③レントゲンで撮影(X線)により確認
*経管チューブはX線入りなので確認できる
9 チューブを鼻翼、鼻梁部にテープで固定する
*鼻腔どちらかから挿入するかは決まりはない(左右で鼻腔の構造が違うので入りやすいさが違うということがあるので入りづらければ片方の鼻腔より挿入を試みる)
*固定テープにより、皮膚が肌荒れし、潰瘍をつくることがあるので皮膚保護剤を塗るなど貼り方を工夫するなどする
挿入後の看護のポイント
・自己抜去や誤抜去に注意する
・投与スケジュールに沿い栄養剤を投与する
・経口摂取がしばらくできていない患者や、経管栄養がはじめての患者には濃度を薄く、速度は緩徐に開始する
(誤嚥や嘔吐のおそれがある)
・栄養剤の汚染。腐敗のないように管理する
・歩ける患者の場合、チューブを固定、歩行の妨げにならにようにし、説明を行う。
・チューブのあたる皮膚、とくに鼻翼部は潰瘍ができやすいため観察をおこなう
・テープ固定は剥がれやすく、劣化しやすいため注意してみておく
必要物品
経管栄養チューブ、シリンジ、キシロカインゼリー、固定用テープ、膿盆、排液バッグ、処置シーツ、聴診器
「胃瘻」「PEG」の違いは?
・胃瘻
胃瘻とは胃にある瘻とうことで、皮膚と胃に瘻孔作成しチューブ留置をしたものを指します。また、PEGは胃瘻の一つでもあります。
最近は内視鏡を使って簡単に作れますが、PEGのキットが考案される前までは、全身麻酔や局所麻酔をかけて開腹手術をして胃瘻・腸瘻を作っていました。
そのため
・PEG
はpercutaneous endoscopic gastrostomyの略で経皮内視鏡的胃ろう造設術を指します。内視鏡を使って胃瘻を作ることです。