転倒事故発生の看護記録の書き方
tenntou
看護記録では、SOAPで書く場合でも、こうした転倒のようなことが起きた場合は、経時記録に切り替えて書いた方がよい。

転倒した患者の情報

・74歳 女性
・疾患名:深部静脈血栓症
・経過:1ヶ月前より、左下肢腫脹、圧痛あり。病院にもいかずにいた。1週間前より、歩行困難となり受診。深部静脈血栓症との診断で入院となる。入院後、ヘパリン点滴治療開始。7月9日より抗凝固剤の内服治療の変更となっていた。


発見されるまでの様子

悪い例
7月10日23時 
ナースコールあり。部屋を訪室時、ptが転倒している。←転倒しているとは、どう転倒していたかがわからないため×
トイレへ行こうとしたとのこと。
←患者の発言は、かぎかっこで囲む。どうしてそうなった(転んだ)か記入する
立ち上がらせ、トイレ介助する。看護師D
←ここで、終わりにせずなぜ転んだか?ケガはないか記入する

良い例
7月10日
19時40分 
検温時、ベッド上に座り、本を読んでいた。看護師D
←発生以前に患者の状態を観察している事実があれば、患者の状態を記入する。


発見時の様子

7月10日23時
204号室2ベッドのAさんよりナースコールあり。
Aさんが、「Cさんが転んでいます」と言われる。
訪室すると、Cさんがベッドサイドで正座しているところを発見する。←
どのような体勢で転んでいるかを記入する
どうされたか尋ねると、Cさんは、「トイレに行こうと思ったら、なんでだかわからないけど転んでしまったの。なんでだろうね。どこもぶつけてはいないわよ。」
「昼間には、いつもより歩けてたから、大丈夫だと思った」と話された。
看護師の介助で立ち上がり、トイレまで歩行する。ふらつきなし。
Aさんは、「Cさんのところから大きな音がしたので、見てみると横向きに倒れていて一人でうごけなさそうだったからナースコールを押した」 看護師D
←患者や発見者の発言は、そのまま記入する

*医師へ報告した内容は詳細に記入する⬇︎

悪い例
7月10日23時15分
両膝打撲痛あり。軽度発赤あり、VS著変なし。医師へ報告する。
診察結果、経過観察となる。  看護師D

良い例
7月10日23時15分
BP112/62mmHg,P72/分、四肢に内出血斑なし、擦過傷なし。
「膝がちょっと痛いかな」と言われる。疼痛スケール2/6,両膝打撲による軽度発赤、圧痛あり、前頭部腫脹なし。瞳孔不同なく、左右とも3、2mm大、対光反射左右ともあり。                  看護師D

*ポイント

・発赤した場合を記入する必要がある
・VS著変なしと略さず、測定・観察したバイタルサインを記入する
・事故発生時間、バイタルサイン、医師への報告と診察時間を明確に記入する
・医師は医師名を記入する
・患者はどこもぶつけてないと話していたとしても、膝は床にぶつけていて、発見時は横に倒れていたため頭をぶつけた可能性があり、患者からの情報は不明確とかんがえられるため頭部打撲の可能性も含め観察をし、記入する
・疼痛スケールを使用することで時間経過後の変化もわかりやすい。

良い例
7月10日23時20分
当直医E医師へ”ふらつきがあり、転倒し両膝打撲痛がある”ことを報告する。看護師D

良い例
7月10日23時25分
E医師が診察。経過観察の指示あり。本人へトイレ歩行の際は必ずナースコールすることを再度説明する。また、痛みが増強したり、気分が悪くなったときはすぐにナースコールを押すことを説明する。
看護師D

事故発生後の様子

悪い例
7月11日2時00分
ナースコールあり。看護師が付き添いトイレ歩行する。

良い例
7月11日2時00分
本人よりナースコールあり。看護師が付き添いトイレ歩行する。「膝の痛みは大丈夫です。他に痛いところはありません。」と話される。跛行なし。ふらつきなし。両膝痛の増強なし。疼痛スケール1/6、両膝打撲部腫脹なく、内出血班の出現もなし。 看護師D

*ポイント
・医師へ報告した内容は詳細に記入する
・患者へ指導・説明した内容を記入する
・転倒後、歩行状態や打撲部の状態、疼痛の状況など、転倒後の状態を記入する。