看護師、医師でも足背動脈触知は苦手な方は多いでしょう。
今回は足背動脈の取り方、コツ、理由などをみていきましょう。

足背動脈をとる理由・場面

足背動脈を取る場面・理由

  1. 足背動脈を触知する理由としては、体の最も遠位な末梢で触知できればそれより近位も触知できているため。(足背動脈よりも上部の血管が詰まると、当然足背動脈は触知できなくなります。)
  2. 抹消まで血流の流れの有無を確認するため。末梢性血管疾患(PAD)や閉塞性動脈硬化症(ASO)など足に関する病気の疑いで測定することが多いです。
  3. ・足背動脈の脈拍が弱くなったり、左右差がある場合は初期の場合もあるため担当医に報告し、他バイタルなどに異変がないか確認します
  4. 血栓が脳に飛び梗塞が起きると脳血栓、肺では肺塞栓症、心臓では心筋梗塞のおそれなどがあり、命にかかわる状態になってしまうことがあります。

そのため足背動脈の触知を素早く正確にできることが大切です。

足背動脈触知の方法・どこか分からない?

足背動脈をとる理由

足背動脈触知の方法

  1. 左右の足を同時に触診し、皮膚温をみます
  2. 両足の足背動脈を同時に触知します
    第1趾(母趾)、第2趾(示趾)の間に手指の3本の指をあてます。
    *足背動脈は走行によって人それぞれ違ったり、なにも病気がなくても健常者でも10%は触知できないので後脛骨動脈でも触知します
  3. 足背または後脛骨動脈がしっかり触知されればPADの可能性かなり低い
    触知できない患者もいるため担当医または術者に報告します

足背動脈触知どこ?

慣れていないと触知できないので、自分の足背動脈などで触知を練習する必要があります。
手の橈骨付近で脈拍を測るよりも、深さは1cm深層にあるため強めに指をあてた方が触知しやすい。

正常な足背動脈

正常な場合には、心拍と同じリズムの拍動を確認することが出来ます。

足背動脈が触知できない場合は後脛骨動脈!

後脛骨動脈で脈をとる
後脛骨動脈とは内側のくるぶしの後ろにある動脈を触知します。
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・後脛骨動脈で触知できなければ、膝の後ろの膝窩動脈や鼠径部で大腿動脈で触知確認もしましょう。
・手指での確認できない場合でどうしても足背動脈を確認しないといけない場合は、聴診器やドップラーを使います

ドップラー

ドップラーは、血液の流れが正常であるかどうか音を確認することが出来ます。
ドップラーで足背動脈の確認をするには、動脈付近に専用のジェルを塗って、機器を近づけて音を聞いていきます。音は心拍のような「ドットドット」のような音ではなく、血液が流れる音でマイクで集音された音のため「シュワー」と勢いのよい流れる音がします。

https://twitter.com/KuntaJo/status/1433317268025266176?s=20&t=FEmSeebgmlgrQWs0_74T1Ahttps://twitter.com/KuntaJo/status/1433317268025266176?s=20&t=FEmSeebgmlgrQWs0_74T1A

よくある勘違いに注意!深部静脈血栓症に足背動脈触知が関係するのか?

・深部静脈血栓症のリスクが高まりますが、深部静脈血栓症は静脈の問題なので、足背動脈の動脈とは関係はないです。
・深部静脈血栓の有無を調べる場合は、Dダイマーや静脈エコー等で術前・術後評価をおこないます。
・深部静脈血栓症で静脈が閉塞すると、動脈も流れが悪くなることが多いです。さらには、閉塞して、最悪死の危険があります。

余談

私は職場の先輩は、深部静脈血栓症の疑いの確認のために足背動脈の触知を行っていると言っていました。
しかし、調べてみると動脈と静脈は違いますよね。血液の流れから考えても足背動脈の触知できなくても深部の静脈には関係ありません。リスクはほぼないと考えてよいことが分かりました。
その先輩は、大きな大学病院出身でいろいろ教えてくれる方でしたので間違えてますよとはいえずじまいではありますが…