腹膜透析とは、血液透析とは違いシャントは作らずに自分の身体の腹膜を透析膜として使用し、手術により挿入したカテーテルから腹腔内に透析液を出し入れすることで、血液をきれいにする透析療法。
主に在宅で行われる。日本では、1980年からはじまった療法です。
体液内の余分な水分、毒素が透析液に浸透圧の差で出て透析ができるのです。
karada1

透析2透析3

バクスターHPより

腹膜透析の種類

APD(自動腹膜透析)
・APDは、1日に1回。専用の機械を使って夜間に自動的に透析液の入れ替えを行
うため睡眠中に完結できる方法を用いて腹膜透析を行います。
・就寝時のみの透析法であるため、時間的拘束や負担が少ないものの、事故の発
生率はCAPD(シャント造設による血液透析)より高いため危険度は高まります。
透析3
CAPD(連続携行式腹膜透析)
・CAPDの透析液のバック交換は6~8時間毎に行い、毎日1日3~5回回30分程度(朝、
昼、夕方、寝る前)行います。
・時間は注入に7~10分、排液に10~15分ぐらいかかります。
・交換の時にバックとカテーテルを繋げて血液の浄化を行います。カテーテルを
腹帯にしまうことができるため、通常の生活を送ることができます。
透析1

透析2
バクスターHPより

腹膜透析のポイント

・家庭や職場など、社会生活の中で、患者本人が行います。
・チューブの入っている場所は入浴後などに毎日1回消毒が必要。
・腹膜炎などになってしまったら腹膜透析を続けられなくなることがあります。
そうすれば、血液透析へ移行しなくてはなりません。
・バッグの接続部は透析液の交換の度に新しいキットを使用するので、清潔操作
さえ守ればわざわざ消毒する必要は無いですが、透析液を刺す部分の消毒は必
要になります。
・腹膜内に感染源(雑菌)が入ると腹膜炎を起こしてしまいます。
だから消毒も血液透析より厳重に行います。
・血液透析と比較し、心負荷は小さく、残腎機能は比較的温存しやすい
・血液透析に比べると、体液量の管理があまり厳格ではない
・自己管理尿力が要求されます
・食事制限が血液透析より厳しくなく、旅行にも行けます。

腹膜透析の導入する順序
患者の腹部にカテーテルと呼ばれるチューブをお腹でもっとも低いところ(膀胱と直腸の間に留置し、そこから透析液を注入し、一定時間おいてから排液します。
この透析液の注入や排液は落差を利用して行われます。

腹膜透析のカテーテル挿入位置は?
一般的に腹膜腔の一部であるダグラス窩(直腸子宮窩ともいう)に挿入されます。
男性には存在しないが、男性の直腸と膀胱の間にある腹膜腔(直腸膀胱窩)を便宜上「ダグラス窩」と呼ぶことが多い。
・女性の場合は、直腸と子宮の間にある腹膜腔
・男性の場合は、直腸と膀胱の間にある腹膜腔
腹膜腔
↑女性の場合の直腸と子宮の間

腹膜透析ができなくなる合併症「腹膜炎」とは?

合併症である被嚢性腹膜硬化症は腹膜炎ともよばれます。長期間の腹膜透析や繰り返す腹膜炎により腸管表面の変性や腸閉塞を来し、場合によっては命に関わることもある。およそ8年以内なら発症率が低いとされるが、日ごろの自己管理も重要となる疾患である。そのため、長期間の治療にはむかず安易に自宅でのケアの移行として考えるのは安易である。
腹膜透析は、腎移植を受けるまでのつなぎの療法という考えの短期のケアである。

看護目標

1. 合併症による苦痛や不安が軽減され、安楽に透析治療が受けられる
2. 合併症や自己管理の知識を深め、出現や憎悪への予防的行動がとれる
3. 不安、疑問、悩みが解消され、よりよい社会生活が送れる
4. 透析治療を受け入れた今後の自分の人生に希望が見いだせる