針刺し・切創・粘膜曝露が起きたときの流れ

外科採血
①創部を流水と石けんで洗い流す。
可能であれば、消毒薬(イソジンなど)による消毒を行う。
(血液の絞りだしは推奨されていない)

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②器械出し中に針刺しが起こった場合は、同じ手術室スタッフに報告します。

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③曝露源の感染性の確認
受傷者(針刺しした者)の抗原・抗体を確認

④外来受診し血液検査を行う
労働災害の手続きをして、診療科受診を通じて検査や曝露後予防の治療を受けるます。仕事の中で起こったことですから、自分で医療費を負担するのではなく労働災害になります。

⑤緊急措置を行う
抗体がなければ措置します。また、HIVは予防目的で行う場合が多いです。
・HIVでは、PEPとしてツルバダ(TDF+FTC)、または+カレトラ(LPV+RTV)の 4週間投与を実施します。

・HBVでは、48時間以内のHBlg静注+ワクチンプログラムを開始します。

・結核では、クオンティフェロン検査などのIGRAで陽性化したら潜在性結核として治療を開始します。

・梅毒については感染力も低くく、根治できる病気なので、原則として治療しない

⑥インシデントアクシデントレポートを書く

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*感染委員会に報告します
*新人であれば呼び出され、指導されることも多いです
⑦経過観察時採血(1,3,6ヶ月)

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その他、針刺しで大事なこと

*基本的に独自の判断で動かず「病院のマニュアル」に従います。
*針刺しによる労災は転職しても受けられますので採血も行います。
*カルテを作成し,オーダリングにより検査を行う。
*通常は6ヶ月までとするが,HCV と HIV の重複感染の時は 12 ヶ月後まで検査する。

針刺しによる感染率

・ HIV 0.3%
・ HCV 1.8%
・ HBV 1ー62%
とB型肝炎の感染が多いです。
感染するかどうかは、体内に侵入した血液量(正確にはウイルス量)の影響が大きいです。
そのためできるだけ感染源(血液)が入らないようにします。

また縫合針と採血に用いた針では、縫合針は針の表面だけの感染のリスクがあるが、採血針は針の中空部分にも血液体液が付着しているため、針刺しをした際、皮膚の奥まで血液が入り込むことになり、その分感染の可能性は大きくなります。

また、注射や採血の際にディスポーザルのゴム手袋を着用で感染する可能性を徹底している施設も多いです。それは、このディスポの手袋をしていると体内に入る血液は2分の1 になるといいます。感染源の量がすくないことはできるだけ少ない方がリスクは低いということです。
採血がしにくいなど利点ばかりじゃないですが、わかっている感染されている方を採血する際はぜひ手袋を装着することをおすすめします。

予防措置の効果は?

1.HBIG(乾燥抗 HBs ヒト免疫グロブリン)とHBVワクチンの迅速な投与によりHBV感染を90%以上予防できる。
2.HCVに対しては曝露後の有効な感染予防策はない。
3.HIVに対しては感染性の高い血液に曝露後、1~2時間以内に抗HIV薬を服用することで通常約 0.3%の感染率をさらに 80%下げることができる

予防対策

・アイガード
・フェイスシールド
・ダブルグローブ
・エチガード
ジョンジョンかでてる先が丸い針。
しかし、術者は鋭利な針を好ん
で使ってしまうので、刺さりやすいです。
しかし、鈍針だと扱いづらいことも多いです。

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどに感染した場合、血液検査でわかるのはいつ?

針刺し直後の検査は「陰性」を確認するための検査です。

その後、必ずフォローで採血検査しなければなりません。

では、
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いつ検査したらいいのか?

B型肝炎ウイルス(HBV)約2カ月後

C型肝炎ウイルス(HCV)約3カ月後

エイズウイルス(HIV)約2カ月後

梅毒約1カ月後

C型肝炎針刺し事故に対し感染率は?

針刺し事故についての事故に対し感染率についての論文はいくつかあります。
論文では、C型肝炎針刺し事故に対し感染率は「0%-10.3%」となってます。
これらの論文の報告例の症例数をすべてあわせると
6,956名のC型肝炎針刺し事故に対し感染者は52名 0.75%の感染率です。

論文:Injuries from needles contaminated with hepatitis C virus: how high is the risk of seroconversion for medical personnel really?: Internist (Berl). 2007 Oct;48(10):1165-72

検査項目 ウインドウ期 検査でわかる時期
B型肝炎ウイルス(HBV) HBs抗原 約59日 約2カ月後
HBV-DNA(PCR) 約34日
C型肝炎ウイルス(HCV) HCV抗体 約82日 約3カ月後
HCV-RNA(PCR) 約23日
エイズウイルス(HIV) HIV抗原抗体 約16日 約2カ月後
HIV-RNA(PCR) 約11日
梅毒 TPHA抗体 約4週間 約1カ月後