ドレーン管理の看護計画たてるポイントとしてはドレーンを留置する目的を理解しドレーン管理の観察点をおさえる必要があります。
ドレーンの分類と目的
腹腔内の手術では臓器や血管、皮膚などを切ったりしますので出血はあります。
また、洗浄もしますので術後に体内に洗浄した生食も残ってしまいます。
さらに術後に感染、出血や縫合不全など起こる可能性があります。
しかし、ドレーンが入っていれば、出血や感染、縫合不全を早期に発見できます。
そのため、術後のドレーン管理は重要なのです。
種類 | ドレーンの目的 |
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治療的ドレーン |
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予防的ドレーン |
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情報ドレーン |
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この3つがドレーンを留置する理由です。
手術後の腹腔ドレーン管理と観察ポイント
ドレーンの管理においては、排液の「色」「性状」「量」「臭い」などを確認し、量の増加、異臭の出現など、通常の経過にあてはまらないドレーン管理と観察ポイントを認めた場合は、全身状態を評価し、緊急手術に備えた対応が必要です。
ドレーン排液の色と性状の変化
正常であれば排液の色は術直後が「血性」あるいは「淡血性」であり、術後1日目以降が「淡血性」あるいは「漿液性」となる。
- 正常:淡血性~漿液性(術直後かた淡血性~漿液性と変化する)
- 血性:術後出血や縫合不全
- 白みがかかり混濁している(膿性):感染、縫合不全
ドレーンの排液量
- 正常:200ml/日以内であれば抜去可能
- 術後出血・縫合不全の場合:術直後100ml/時間以上の血性排液(出血)
術後出血とは?
術後は出血が多いためドレーン排液量とその性状の変化に注意して観察する必要があります。手術室でドレーンを挿入する際の直後や病棟に帰室後も排液の色は赤く濃く排液量も多いです。また色だけ観察するわけではなく排液量もしっかり観察します。1時間に100 ml以上の血性排液が続く場合や血液の塊が混ぜる凝血塊がみられる場合は,術後出血ですので医師へ報告する必要があります。
ドレーンの排液の匂い
- 正常・・・無臭
- 異常・・・便臭(消化管の損傷・縫合不全)、酸っぱい匂い
バイタルサイン(体温、心拍、血圧など)
大きな観察ポイントです。
ドレーンの固定
ドレーンを固定方法は、呼吸性変動を考慮し、2、3cm程度の余裕を持ってドレーンが屈曲・閉塞しないようにテープで固定します。
挿入部位近くに一度固定し、さらに大腿に固定することが多いです。
近年はドレーンの早期の抜去と閉鎖式ドレーンが推奨!!
近年では、ドレーンによる感染のおそれにより、ドレーンの早期の抜去もガイドラインで推奨されています。
ひと昔前までは、解放式ドレーンが一般的でしたが、近年では感染のリスクもあるため閉鎖式ドレーンが推奨されています。
腹腔内のドレーン挿入(留置)部位
①右横隔膜下
右横隔膜下は仰臥位時、右上腹部で最も深い位置で、
肝右葉と横隔膜の間を指す。
肝右葉と横隔膜の間に留置
ちょうど右側の胸の下、腹腔の右上
主な手術例
・肝切除術
②左横隔膜下
脾臓と横隔膜の間
左横隔膜下は仰臥位時、左上腹部でも最も深い位置で、
脾臓と横隔膜下の間を指す。
主な手術例
・胃全摘術(ルーワイ法)
③ウィンスロー孔
ウィンスロー孔は、網嚢孔ともよばれ網嚢という腹腔への入り口のことで胃と肝臓の背中側にある。
孔になっているので、ドレーンがずれにくく、抜けにくい構造になっている。
主な手術例
・肝切除術
・胃全摘術(ルーワイ法)
・幽門側胃切除術(ビルロートⅠ法)
④モリソン窩
肝臓の右葉と、右腎臓の間の隙間に留置
腹水などがたまりやすい構造のためドレーンがモリソン窩に留置される
主な手術例
・結腸右半切除
・胆嚢切除術
⑤肝下面
肝臓の下面で、中央にあるくぼみ近くに留置
主な手術例
・胃切除
・結腸切除術
・胆嚢摘出術
⑥右傍結腸溝
読み方:みぎぼうけっちょうこう
上行結腸下部の外側に留置
主な手術例
・急性虫垂炎
・結腸右半切除
⑦左傍結腸溝
下行結腸下部の外側に留置
主な手術例
・結腸左半切除
・S状結腸切除術
⑧ダグラス窩
ダグラス窩は、別名:女性では、直腸子宮窩(直腸と子宮の間)男性では直腸膀胱窩(直腸と膀胱の間)
立位で腹腔内で最も低い位置にある窪み(くぼみ)にあたるとことです。
主な手術例
・S状結腸切除術
・汎発性腹膜炎(パンペリ)
・胃がん摘出手術
などがあります。
ドレーンの種類
ペンローズドレーン
・毛細管現象を利用して排液する。
・ペンローズドレーンは柔らかく,使用頻度が高い。
・凝血塊や壊死組織を含んだ滲出液は詰まりやすいという欠点がある。
・しかし、屈曲しやすくドレーン入れ替え困難
デュープルドレーン
・管壁内に細孔を設けることにより,毛細管現象を兼ね備えたもの
・ペンローズドレーンより硬い。