ヘパリンロックと生食ロックとは?

輸液を一時中断または間欠的に投与する時に点滴ラインを維持する目的で、点滴は流さないが「ヘパリン生食や生食」 のどちらかで点滴ルート内を満たしておくとルート内の血液凝固を防止します。そのためまた同じ点滴ルート確保したところから点滴など薬剤を再度投与する目的するのが「ヘパリンロックまたは生食ロック」とよばれています。

毎日何度も点滴のたびに針を刺されては、患者さんの負担が大きいこともあり、このヘパリンロックと生食ロックは患者さんの負担軽減にもなっています。

ヘパリンロックと生食ロックの違い

病院により違います。ヘパリンロックと生食ロックどちらかでやっているか、もしくはどちらかを使い分ける施設もあります。

ヘパリンロックとは

  • 点滴などのを看護師が何度も刺しなおす場合に抗凝固剤を(ヘパリン)を利用してカテーテル内に貯留させておくことで点滴など薬剤を再度再開・投与できるように行う行為です。
  • ヘパリンロックとは、ヘパ生つまりヘパリン生食を点滴のルート内に貯留することでルートをとった血管内の血液を凝固させずにいることができます。
  • ヘパリン誘導性血小板減少という血栓性疾患をおこすことがあり、ヘパリンによる副作用の報告がありましたが、またロックで使用されれるヘパリンの量では配合禁忌となる薬剤は数種類の抗がん剤以外は現在ではほとんどないです。
  • コスト面は生食に比べやや高めです。
  • 100単位/mL程度の濃度のヘパ生食を作成する必要があります。
  • ほとんどは、生食100MLに10000単位のヘパリンを注入し作成します。
  • ヘパリンロックを用いた場合に起こりやすいとされている出血や感染を生食のほうが起こしにくいという報告もありますが、これは間違いです。
  • ヘパ生をつくり室温のまま放置して必要なときにこのボトルからヘパ生を引いて使用していた施設が多いため感染しやすいというレッテルがはられています。
  • 必ず必要分作成するか、冷床保存が基本です。

ヘパフラッシュの画像です

生食ロックとは

  • 上記に書いているヘパリンロック同様の目的で行われヘパリンではなく、生食を利用して行うものです。この際陽圧ロックすることが必要になります。
  • 生食は血液と等張であり、血球を破壊しないので凝固を促進させません。
  • 静脈内留置のエラスター針なら生食ロックで十分凝固を予防できるとされています。
  • コスト面はヘパリンロックに比べやや安い

せいちゅ

本当に陽圧ロックをすれば血液は逆血して凝固しないのか?

・陽圧ロックとは、カテーテルから注射器などをはずす場合、「陽圧をかけながらはずす」という意味です。その直後にカテーテル内にかかっていた陽圧はなくなり、カテーテル内と血管内は同じ圧にはなります。しかし、時間が経過すれば逆血してくることは十分ありえます。
そのためヘパロックが確実ということが分かったでしょう。

ヘパリンロックの利点

  • 動脈内に留置する場合などが多く主に中心静脈にルートの場合、また静脈内に留置している針の長さが長い場合など圧力の高い管の中に逆流しやすいので、 ヘパリンが使われる場合が多くあります。
  • 小児では、原則ヘパリンロックはしないとなっていますので生食ロックです。特に新生児や低体重児では、ヘパリンの安全性が確立していないので生食を使用します。

ヘパリンロックは100単位か10単位かの使いわけ

ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ
ヘパリンNaロック用10単位/mLシリンジ
の2種類があります。

100単位/mLは12時間まで時間おいてもよい
10単位/mLは6時間まで時間おいてもよい
という時間での使い分けをします。

結果、どちらがよいのか?

コスト面やヘパ生作成の手間(看護師の業務の効率化)で考えると生食ロックです。小児の場合は生食ロックが基本です。
・しかし、確実性を求めると動脈、中心静脈の場合はヘパロックがよいでしょう。
・CDCガイドラインやアメリカでもヘパリンロックと生食ロックするかどうかは施設によりわかれていたりするためはっきりとしてどちらかがいいということもないです。ただ確実なのは生食とよばれています。

インターリンクシステム使用したルートの接続部で感染を防ぎ、簡便に

  • 細菌感染の危険性が一番多い三方活栓を使わないことで、感染を減らします。
  • 輸血ラインの確実な接続が可能になり、ルートのはずれによる感染や、カテーテル閉塞が減ります。
  • 金属針を使用しないことにより、看護師や医師の針刺し防止になり感染事故を減らすことができます。
  • 針を使用せずプラスチックなため、安全性が高く在宅療法でも使用することができます。

何回も使用できるの?

インターリンクのゴム部分は、200回までの穿刺が可能とされています。 

まとめ

1日に何度か点滴する時は点滴が終わった後や点滴などの途中で中断する場合そのままにしておくと、カテーテル内の血液が逆流して固まってしまいカテーテルが閉塞しまいますので、その閉塞をふせぐために抗凝固剤である(ヘパリン)や生食をカテーテル内に流すことで患者さんの負担は減りますし、看護師の負担もへりますので双方にとってメリットのある行為ですのでしっかりその必要性をおさえておきましょう。
(画像はテルモのHPより引用)