ANPとBNP、NT-proBNPの違い、使い分け

3つはすべてホルモン

・ANP:心臓の心房で合成・貯蔵され、血中に分泌されるホルモン
・BNP:心臓の心室から分泌されるアミノ酸からなるホルモン
・NT-proBNP:BNPと同じくBNP前駆体から分解されて生じるホルモン

3つはすべてホルモン

ANP 心房性優位
BNP心室性優位
NT-proBNP

3つの採血管

ANP
・トラジロール(アプロチニン)入り
・抗凝固剤EDTA-2Na入り
・真空採血量2mL
・採血管はうす紫の血算
・HANPの採血管は紫色

BNP
・抗凝固剤EDTA-2Na入り
・真空採血量5mL
・採血管はうす紫の血算
BNPの採血管は紫色

NT-proBNP
・冷蔵
・真空採血量3mL
・採血管は赤茶の血清のプレーン管

3つはすべてホルモン

・脳性Na利尿ペプチド(BNP)
・脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)
・心房性Na利尿ペプチド(ANP)

3つの略

・ANP:human atrial natriuretic peptide
・BNP:brain natriuretic peptide
・NT-proBNP:N-terminal pro-brain natriuretic peptide

3つの基準値

・ANP:43 pg/mL以下
・BNP:18.4pg/mL未満
・NT-proBNP:125pg/mL以下

3つの共通点

・心臓から分泌されるホルモン
・心臓に対する負荷を軽減する作用(水分を体外に出したり(利尿作用)、血管を拡張して血圧を下げたり(降圧作用))
・基準値は低値で、心不全患者では増加
・特にBNPは、病態に応じて鋭敏に反応するため、心不全の診断または病態把握に広く用いられています。
・症状のない早期心不全でも血中濃度が上昇していることから、最近は心不全のスクリーニング検査としても注目され、人間ドックや検診にも用いられています。
 ・ANPは透析前後で大きく変動することから、慢性腎不全患者における透析終了時体重の設定の指標として用いられています。
 

心筋ストレスマーカーについて

・HANPは心房で合成・分泌されるホルモンであり、透析患者の至適体重管理によく用いられます。
・BNPは心室で合成・分泌され左室拡張末期圧を反映することから、心不全の診断補助として使用されています。
・NT-proBNPは、前駆体ホルモンであるproBNPが分解されて生じるホルモンであり、1:1の割合でBNPと共に血中に放出され、BNPと同様に心不全で診断補助に使用されています。

BNPとNT-proBNPの違い

・NT-proBNPは代謝経路が腎臓のみであることから、糸球体濾過値の低下と共にBNP以上に上昇するので、心機能と腎機能も評価できる
・BNPと異なり心臓のみ評価できる

ANP、BNPとNT-proBNPの比較表
  ANP BNP NT-proBNP
検体 (アプロチニン入)
EDTA血漿
EDTA血漿 血清/血漿
採血後の安定性 不安定 冷蔵で24時間 室温/冷蔵で24時間
検体の保存 凍結 凍結 冷蔵3日間
合成・分泌される所 主に心房 主に心室
特徴 体液量を反映
透析患者の至適
体重の指標
心不全の重症度を鋭敏に反映
(ANP < BNP < NT-proBNP)

3つの算定について

・脳性Na利尿ペプチド(BNP)
・脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)
・心房性Na利尿ペプチド(ANP)
このうち2項目以上検査した日から1週間以内に追加で検査した場合は、そのうち1つだけしか算定できません。

NT-proBNPの採血管はうす紫色の血算

HANPの採血管、基準値、上昇・低値の疾患について