血液型検査とクロスマッチは、赤血球を使用して検査します。そのため遠心分離後に赤血球が分離剤の下になってしまう「分離剤入り採血管」は使用しません。

最近では自動血液型判定機(抗凝固剤入りのスピッツの全血を用います)の導入により血液型検査とクロスマッチも「分離剤入り採血管」を使用せずに,抗凝固剤入り採血管を使用することが多くなってきています。

基本的には、この血液型検査とクロスマッチ検査は抗凝固剤入り採血管を使用します。

血液型検査とクロスマッチ

基本的に同じであるが目的は違います。

血液型検査

血液型検査のスピッツは抗凝固剤ACD入りで必要採血量は5ml
画像:BML
血液型検査もしくは輸血のための血液型調べる採血で調べる検査です。

採血量:5mL
もしくは、血算と同じスピッツで調べることもあります
ABO式血液型は、A型の人は抗B抗体、B型の人は抗A抗体というように、自分自身の赤血球とは反応しない抗体を血液中に持つというランドシュタイナーの法則に従って4つの型に分けられます。一方、その他の血液型では対応する抗体を持たないことが普通です。抗A抗体、抗B抗体を法則に従った規則性抗体というのに対し、抗D抗体や抗E抗体などABO式血液型以外の血液型に対する抗体を総称して不規則性抗体といいます。

不規則性抗体

不規則性抗体は生まれつき自然に持っている場合(IgM型)と、輸血や妊娠で免疫されて作られる場合(IgG型)があり、その不規則性抗体の検出率は約0.2~4%です。

不規則性抗体を持つ患者にその抗体が反応する血液型の赤血球を輸血すると、体内で抗原抗体反応が起こり、輸血した赤血球が破壊され副作用を引き起こすのでこの検査する必要があるのです。

妊娠においては、母体血液中にIgG型が存在し、胎児が対応する血液型を有している場合、その抗体は胎盤を通過して胎児の赤血球を破壊し、新生児溶血性疾患を引き起こすことがあります。

すべての不規則性抗体が溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患を引き起こすわけではありませんが、これらの不規則性抗体の有無を事前に確認することは安全な輸血や適合血液の確保、血液型不適合妊娠の予知と対策のために検査は行います。

クロスマッチ(=交差適合試験)

輸血用血液との適合性を採血で調べる輸血検査です。
採血量:5mL程度

血液型が同じだけでは輸血はできなく輸血用血液を体内に入れても問題ないかを調べる検査です。
交差適合試験(こうさてきごうしけん)は輸血による副作用を防止するために行われる検査です。”患者さんの血液”と”輸血用の血液製剤”を混合して溶血や凝集がないかの反応の有無をみるもので、ABO式血液型の不適合や、その他の血液型に対する免疫抗体 (IgG)を検出できる方法も併用で検査します。

交差適合試験には、受血者血清中に供血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる主試験と、供血者血清中に受血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる副試験があります。この副試験は、受血者の血液型、供血の血液型及び不規則抗体の検査が正しく行われている場合には省略できます。

試験の結果
・陰性であれば輸血ができます。
・陽性であれば凝集または溶血反応されるので抗体が存在することになります。この場合、供血者血液が受血者体内に入ることにより免疫反応が起こるため、輸血できません。

主試験と副試験の結果が合致しなかった場合は他の血液を使用するが、緊急時には主試験の判定を優先します。

輸血をいれる前に輸血と患者の血とでクロスマッチします。採血もその検査の直前に行います。

コンピュータークロスマッチ

コンピュータークロスマッチの不適合

コンピュータクロスマッチの目的4つ

・ヒューマンエラーABO型不適合輸血の防止が最大の目的
・検査業務の大幅な負担を減らせる
・血液製剤準備時間の大幅な短縮できる
・無駄な血液製剤の準備をしなくていい
・輸血業務24時間体制への実現

 コンピュータクロスマッチ適応の3つの条件

 

あらかじめABO血液型,Rho(D)抗原型検査と抗体スクリーニング検査により,臨床的に問題となる抗体が検出されない場合には,交差適合試験を省略し,ABO血液型の適合性を確認で輸血は可となります。
(1)結果の不一致や製剤の選択が誤っている際には警告する、使用しない
(2) 患者の血液型が2回以上異なる採血した血液により確認されていること
(3)輸血製剤の血液型が再確認されていること

「輸血療法の実施に関する指針」(改定版)
平成17年9月厚生労働省医薬食品局血液対策課

血液型検査・交差適合試験に使用する採血管(スピッツ)

検査に必要なものは採血物品と変わりありませんが採血スピッツは専用のものがあります。また、血算のスピッツでも構いません。

採血管

血液型検査

血液型検査はうす紫の抗凝固剤(CPD)入りの容量は5ccです。
または、よく使われる血算をとるうす紫の抗凝固剤(EDTA塩)入りのスピッツです。患者の血液を必要以上にとる必要はないのでこちらでとって同時に血算と血型とクラスマッチを調べるのが理想です。

クロスマッチ(=交差適合試験)

交差適合試験用は一般的には抗凝固剤なしを用います。赤血球を用いるので分離剤入り避けた方がいいです。

血液型検査・交差適合試験の注意点

・輸血や患者の取り違えは重大な医療事故です。必ず、採血の際には患者本人に名乗ってもらい、輸血の貼ってあるラベルの氏名と確認を複数の看護師で指差し確認で行います。
・輸血の際は患者の血液型、輸血用血液の血液型、製造番号、有効期限、検査結果などを医師と読み合わせて再度確認します。
・携帯端末(PDA)が利用可能であれば、患者リストバンドと輸血用血液のバーコードの読み取り照合も行います。
・輸血中は輸血副作用を早期発見するため、注意深く患者を観察する。特に、開始時の5分間と15分後の観察は必ず行いチェックシートなどに記録します。

参考 輸血検査の実際 改訂第3版、日本臨床衛生検査技師会、2004