キシロカインショックとは?
キシロカイン製剤(リドカイン製剤)を用いたときに発生したショック症状を総称して、「キシロカインショック」と呼ばれています。原因は、アナフィラキシーショックが主で他に3つほどの要因があります。
キシロカインショックの症状は?
キシロカインショックですので、名前の通り”ショック症状”が出ます。
血圧低下や心拍減少など臓器の血流不足によって生じる急性症状群(末梢血管虚脱、静脈還流量減少、心拍出量低下など)が起こります。
キシロカインショック時の看護師の対応は?
キシロカインショックとは何かを知っておく
まず、基本は看護師がキシロカインショックというものを知っておく必要があります。
緊急時などは医師が言われるがままに麻酔の準備をしますが、キシロカインの使用の限度量をまず知って置く必要があります。麻酔方法により異なりますが、リドカイン塩酸塩の最大容量200mgと覚えておきましょう。
キシロカインショックの看護師の対応は?
・まずは患者の些細な変化に気づくようにしているかと思いますが、患者に薬剤が入る時には血圧低下やキシロカインの使用量をメモし看護記録や麻酔記録に記録します。(追加時も忘れず記入します。)
・ショック症状の一般的な対応をします。
血圧測定、気道確保、酸素投与、人工呼吸管理、輸液、昇圧薬投与(第一選択薬はアドレナリン(エピネフリン))です。
アナフィラキシーショック(急変)での看護師の対応方法、薬の使い分け↓
神経性ショック(心因性)
キシロカインを注射したことによる不安・恐怖心、緊張などの精神的ストレスや痛み刺激により迷走神経緊張状態となりショック起こるパターンです。
神経性ショックの症状
血圧低下、徐脈、顔面蒼白、曝気、嘔吐、冷汗、意識障害
神経性ショックの看護師の対応
ショック症状の改善されない、悪化した場合
- 患者異変に気づく
- 医師に報告
- 水平位とし、両下肢を挙上する。
- 医師の指示によ静脈路の確保と輸液
- 医師の指示によ硫酸アトロピンの静脈内投与
- バイタルチェック(血圧測定、モニター装着)
- 気道確保(挿管の場合もある、咬傷防ぐためバイトブロックも)
- 酸素吸入(呼吸抑制があれば人工呼吸)
- 薬液の注入はゆっくり行う(血中濃度が急に上がるのを防ぐため)
局所麻酔中毒
局所麻酔中毒の2つの種類
・局所麻酔薬過量投与による血中濃度上昇:遅延型
・血管内誤注入による血中濃度急上昇:即時型
局所麻酔中毒とアナフィラキシーショックは全く違う現象です。違いはアレルギーは投与量に関係なくなるが、局所麻酔中毒は過剰投与が原因になります。
局所麻酔中毒の症状
・初期 中枢神経刺激症状(延髄及び皮質の刺激)
頭痛興奮多弁顔面紅潮、不安感、悪心、嘔吐、脈拍数増加頻脈、血圧上昇
・中期 中枢神経刺激症状(延髄の刺激、皮質の抑制)間代性のけいれん
・末期 中枢神経抑制症状(延髄及び皮質の抑制)①血圧低下、脈拍数減少、呼吸抑制、チアノーゼ、意識消失、心停止
局所麻酔中毒時の対処について
- 患者異変に気づく
- 医師に報告
- 血圧確認
- 気道確保(挿管の場合もある、咬傷防ぐためバイトブロックも)
- 酸素吸入(呼吸抑制があれば人工呼吸)
- 静脈路確保(薬剤投与のため)
- エピネフリンを医師の指示により準備、投与する
- 薬液の注入はゆっくり行う(血中濃度が急に上がるのを防ぐため)