血液培養の適応とタイミング
- 菌血症を疑う症状がみられる(発熱·悪寒/戦慄·頻脈·頻呼吸など)
- 原因不明の低体温や低血圧
- 突然変調を来した高齢者もしくは小児
- 免疫抑制患者での原因不明の呼吸不全,腎不全,肝障害
- 昏迷などの意識の変調(特に高齢者)
- 説明のつかない白血球増多や減少、代謝性アシドーシス
- 抗菌薬の変更時
- 起因菌と感受性分かる
- 感染を起こす微生物(細菌あるいは真菌)が患者の血流中に侵入していないかどうかを調べるため
*好気ボトルのみ陽性になったグラム陰性桿菌、なんて来られたら、真っ先に緑膿菌を思い浮かべます。
感染性心内膜炎を疑う時
24時間以内をに間隔をあけて最低3セット血培を行い持続的にグラム陽性球菌が検出されれば感染性心内膜炎を疑います。感染性心内膜炎は決して稀な疾患ではありません。「心雑音+発熱=心内膜炎」も考えます。
そしてさらに精査します。
血液培養の方法と注意点
・血液培養→必ず2セット採取
2014年度より2セットが基本となっています。
・静脈と動脈からの採血があるが最近では差がないことが分かりほとんど静脈から行われています。
血液培養をとる対象
感染症を疑う時
抗菌薬を投与すると,菌は速やかに消失していきます。
投与後の採取では菌が見つけられない可能性があります。
そのため血液培養は抗菌薬を投与する前に採取しないといけません。
たとえば肺炎などの場合、痰の検体と血液培養を行うことが推奨されています。
血液培養の採血のタイミングは発熱の直後
救急外来ですることも多い血液培養。その理由ははやめに検査して病棟にいったあと抗菌薬を投与するためです。
よく「38.5℃以上発熱時血液培養採血」などとある程度高熱なってから血液培養の指示が出ることがあります。しかし、細菌が血液の中に入ってきて、それから生体が反応して発熱を起こすので発熱のピーク時には細菌が血液中から除去されていることがあるのです。
そのため発熱の前(悪寒、戦慄時など)に採血する方が細菌の検出率は高いです。
1セットよりも2セットの方が約20%細菌の検出率
血液培養は好気性菌様ボトルと嫌気性菌ボトルの2本を1セットとして、2セット行ってください。2セット行うのには2つの意味があります。
①採取部位の皮膚の常在菌による汚染を鑑別するため
②検出率を高めるため
皮膚には表皮ブドウ球菌やコリネバクテリウムなど常在菌がいます。丁寧に消毒しても汗腺や皮脂腺のなかに存在する常在細菌を除去することは困難で、少量の細菌が採血時に混入することが起こり得ます。その時に、場所を変えた2回の採血を行うと同
じ細菌が同時に汚染を起こす確率は少なくなり、2セットのうち1セットに皮膚の常在細菌と考えられる細菌が陽性になった場合には、採血時の汚染と判定することができます。
一方で、肺炎球菌や大腸菌など、通常皮膚に常在していない細菌の場合では1セットでも陽性ならば、血液中に存在したことが診断できます。この場
合には、1セットよりも2セットの方が約20%細菌の検出率が向上します。
培養は嫌気培養用のボトルから最初に注入します
採血後嫌気用と好気用の2つのボトルに分注する
ことになりますが、採血後の注射器には空気だま
りがありますので、この空気を嫌気ボトルに注入
すると嫌気状態が不十分となるため注意が必要で
す。注射器をたてて空気だまりを注射器の上部に
移動させ、そのまま嫌気ボトルに最初に穿刺し注
入します。こうすることで、空気だまりを嫌気用
のボトルに注入することが防止できます(図2)。
培養結果が早く報告されるほど血液中の菌数が多い
血液培養ボトルは約1週間インキュベーターのなかで培養し、細菌の増殖を観察します。ですが、緊急に検査結果が早く届くことがあり検体提出後1~2日で中間報告が届いた場合には、血液中の菌数が多い場合です。重症の菌血症なので十分な治療する必要があります。
必要物品・準備物品
駆血帯 、イソジン消毒、アルコール綿は止血時使用する。採血用注射器20cc針つき、検体容器2つ(嫌気ボトル、好気ボトル) 滅菌手袋、 22G針、 防水シーツ 採血後止血用固定用テープ
血培の採血手順
①患者へ必要性の説明(医師より)(前腕より行う)
キット調達(血培キットは薬局にあることが多いので病棟でしたら取り寄せます)その他物品準備する
②採血部位のしたに防水シートを敷く
③イソジンで消毒
④駆血帯をしめる
⑤滅菌手袋を着用
⑥20cc注射器針つき(10cc針つき) を清潔操作で出してもらうかあらかじめセットしておく
⑦採血中に嫌気・好気ボトルのキャップを外し刺入面を消毒をしておいてもらう
⑧採血後、止血する。そのあと、オレンジ(嫌気)青(好気)の順で検体容器に入れる
*最低5cc、通常8ccずつ入れる
⑨針刺しに注意し後片付けをする
⑩検査室に検体をもっていく
血液培養検査は別の採血部位からの2セットの理由は2つ
採血部位について同一部位を避けて2回採血を行います。
※左手と右手など
起炎菌の検出率が向上
1セットのみの血液培養検査では80%の菌血症しかわからない。逆に言えば20%の敗血症の原因菌を見逃す可能性がある。2セットを行うことで88%へ、3セットで99%まで上昇する
コンタミネーションと起炎菌の判断がある程度容易となる。
血液培養検査で検出された菌が菌血症の原因菌かどうか調べるにあたり、採血の手技による意図しない混入(コンタミネーション)によって出てしまった菌なのか菌血症の原因な菌なのかが1セットの血液培養検査では判断ができない。2セット血液培養検査を施行し両方から菌が出ればコンタミネーションである確立は3.3%程度まで下がる