縫合不全とは?
縫合不全とは、主に手術後に、吻合した際の縫合した組織間が十分に癒着せず、縫合部位の一部や全部などが乖離してしまうという現象になります。
縫合不全は、術後の合併症の一つであり、非常に頻度が高いということでも知られています。大腸の手術などでは、特に多く、5%の頻度でこちらの縫合不全が起こっているといえるでしょう。
縫合不全の原因とは?
縫合不全の原因は、二つの要因に分かれるといえるでしょう。まずは、全身的要因があります。これは全身の状態によって、縫合不全が引き起こされることを指します。たとえば、栄養不良や、代謝障害、そして浮腫、低酸素状態などが原因で、縫合不全となるケースがあります。
さらに、抗がん剤やステロイドと行った、ある特定の薬剤の使用によって、縫合不全が引き起こされることもあります。
さらに、局所的要因もあります。これには、傷口の血行障害、そして感染症などが原因であることも多いです。また、さらには、手術後に、創部組織が過緊張となってしまい、縫合不全となるケースも少なくありません。また、消毒がきちんとなされていなかった場合にも、縫合不全となってしまうというケースもあります。普通は縫合後は、およそ7日程度で癒着しますが、このプロセスの間に、これらがいくつかの原因因子によって阻害されてしまうことで、縫合不全が起こります。
縫合不全の症状と観察項目
縫合不全によって、さまざまな症状が引き起こされてしまうといえるでしょう。
■全身的症状として表れやすいもの
縫合不全の症状で、全身に現れる症状ですが、こちらは、一般的な感染症などと同様の症状が起こりやすいです。
発熱・白血球増加・脈拍数増加、血液学検査上での炎症これらが起こりやすくなっています。
場合によっては敗血症などを引き起こし、死に至ってしまうこともあります。
■局所的な症状で現れやすいもの
局所的な症状として表れやすいものには、肉眼的に創部の離解・疼痛・発赤・腫脹・排膿・出血といった症状が起こりやすくなります。
さらに、重症化した場合には、排液に壊死組織が溜まってしまうことがあります。そうなると、異臭なども起こることがあります。
観察としては、一見離解をしていなくても、身体の血液検査により炎症が認められるケースもありますが、肉眼的に明らかに創部が離解していると言うことによって、発見されることが多いです。
縫合不全にならないための予防と看護
縫合不全というのは、いくつもの原因因子が重なって起こりえるものであり、単に術者の技術的な問題であるというケースばかりではありません。そのために、患者や家族への説明をしておく必要があるといえるでしょう。
縫合不全にならないための予防として、起こしやすい部位、そして条件があります。これは浮腫・虚血などがあります。
予防をするためには、前もって、術中に予防をしておく必要があるといえるでしょう。溜まりやすい部位にあらかじめドレーンなどを挿入しておくという方法が一般的です。
また、事前に持病があり、糖尿病や、栄養状態が悪いなど問題がある場合には、その前に全身の状態をコントロールして良い状態に保っておくことも縫合不全にならないために必要であるといえるでしょう。栄養状態の悪い患者さんに対しては、栄養科と連携をして、タンパク質など必要な栄養素を取り入れておくことも大切です。
また縫合不全の原因として、何らかの牽引力が働くことで傷口が離開してしまうこともありますし、組織損傷による血行不全なども考えられますので、安静でいるように指示が必要です。
また、縫合不全が起こってしまった場合の早期発見と早期治療を行うため、看護計画を立てておく必要があるといえるでしょう。
縫合不全の看護計画
縫合不全というのは、いくつもの原因因子が重なって起こりえるものであり、単にこれだけを気をつけていればいいというわけではありません。
まずは、ドレーン留置中の場合抜けないようにテープ固定し張り替え、創部・ドレーン挿入部には、皮膚の保清を行います。必要に応じて、皮膚保護剤の使用、ガーゼ交換を行います。
術後指示があるまでは、絶飲食とするドレーンからの排液量、性状や、バイタルサインを確認します。
医師の指示により、適切な薬剤や輸液の投与を行い、創部の緊張をとり、ドレナージ効果を高めるようにしましょう。
患者の状態によって、徐々に食事の形態を上げ、栄養状態をよくしていくようにします。必要に応じて、トイレなどの介助を行います。
患者さんへも術後の合併症の一つとして、縫合不全があることを説明しておきその際にどのような処置が必要であるかを説明する必要があります。
痛みが強い場合にも、それをすぐに訴えるように指導を行っておきましょう。ドレーンの必要性についても離解をしてもらい、動くことで抜けないように指導をする必要性もあります。
縫合不全の治療
総合不全の治療にはいくつかの治療があります。
まずは、
禁食、そして中心静脈栄養・ドレナージといった保存的療法があります。さらに、間欠的持続吸引器装着によっての、積極的ドレナージがあります。
縫合不全の原因、そして、その影響というものは、縫合部位、そして患者の栄養状態、全身状態によっても異なります。
このため、基本的には、それらの原因や、影響に対しての、対症療法を行う必要があります。
このため、抗生剤の投与を含め、創部のドレナージ、そして、再縫合などの治療が行われます。
しかし、再縫合は、二次感染の危険やリスクがない場合に限るとされています。
皮膚などではなく内臓などにも至る縫合不全の場合には消化液の漏出、腹腔内出血の続発が致命的になることがあります。これらが疑われた場合には、再度開腹、手術を行うケースもあります。
これらの治療に加え、さらには、創部の感染防止、緊張の回避、輸液や食事管理などの対応も重要です。