爪に良いフットケアのコツ
1爪きりは足浴し,爪や角質を柔らかくする
2爪の周りの角質を取り除く
3爪と皮膚との間隙を確認し爪を切る
爪きりの道具
通常であれば普通の爪きりでいいです。ただし、サビたりして切りにくい爪きりはつかわないようにしましょう。
厚く硬い爪を切る場合は,ニッパー型爪切り,やすりを使用し,爪の形を確認し皮膚を切らないように少しずつ切りましょう。
爪の病気の種類
・爪変形は4種類…
爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)
爪甲厚硬症(そうこうこうこうしょう)
時計皿爪(とけいざらづめ)
匙状爪(さじじょうづめ)
・巻き爪
・陥入爪
・爪白癬
爪切りは看護行為なのか?介護職員がやってもいい場合とそうでない場合について
まず、爪切りは看護行為には当たりません。なので、高齢者施設などで介護職員も爪切りをすることが可能です。
ただし、介護職員が爪切りをする場合、条件があります。
まず、糖尿病やワーファリンなどの抗凝固薬の内服がないことです。糖尿病患者の場合、爪切り時に皮膚を傷つけ、そこから皮膚が壊疽し切断に至る、ということが考えられます。また抗凝固薬内服中は血が止まりにくいため、怪我に注意が必要です。
次に、爪白癬や巻き爪などで爪が変形している場合です。変形した爪は大変切りにくく、爪切り時に周囲の皮膚を傷つける可能性があります。
また、ニッパーは使用できません。爪白癬などで肥厚した爪は普通の爪切りでは切りにくいため、ニッパーを使い切ることが多いと思いますが、ニッパーを介護職員が使うことはできません。
大切なのは看護師がまずその人の既往歴や内服薬を把握し、爪の状態をしっかり観察し、介護職員による爪切りが可能なのかどうか判断することです。そして、爪切り時の注意点の指導もできると良いです。
爪切り 看護の目的と手順について
爪切りの目的は、伸びた爪や変形した爪により皮膚が傷つくのを防ぐこと、爪と爪の間の皮膚の生活を保つことが挙げられます。また、爪白癬や爪の周囲の皮膚トラブルの発見にもつながります。
手順として、まずは本人の了解を得る必要があります。デイサービスや訪問サービスの場合は、家族の方の了解を得ることも忘れないようにしましょう。了解を得ることで、本人や家族と医療者のトラブルを未然に防ぐことができます。
必要な物を準備します。まずは爪切り、ニッパー。爪が飛ぶこともありますし、太い爪は踏むと痛いので、新聞などを敷きましょう。厚くなった爪は切りにくいため、入浴後や足浴後など、爪が柔らかくなってから切ると良いです。
爪と周囲の皮膚に異常はないか確認します。この時、何かトラブルがあれば無理に爪は切らず医師への報告や受診をし、医師の指示を受けます。
指を持ち、爪を切る。この時爪切りで皮膚も挟まないよう、細心の注意を払います。
爪は深爪になりすぎないように切ります。糖尿病患者の場合、深爪になると感染を起こしやすくなります。
また爪の角や側面が皮膚に食い込み炎症を引き起こすこともあります。少し白い所が残っている程度がベストです。切るのが難しい場合はヤスリを活用します。
仕上げにヤスリをかけます。切りっぱなしも皮膚の傷の原因になることがあります。必ず自分の指でひっかかる所はないか確認をします。
最後におしぼりで爪を拭くか、水で流すかして、爪の粉をきれいにします。
足の爪も同様に行います。
爪切りの切り方はスクエアカットからスクエアオフ!
爪を切る時に気をつけたいのが、爪の両角です。
どんなに爪を短くしても、角が出ていれば他の皮膚を傷つけますし、短すぎると皮膚に食い込んで、痛みや感染を起こす原因となります。
上手に爪を切るために、爪を切る場合は二段階で切る、と覚えておきましょう。
まずは爪を水平にカットするスクエアカットです。まっすぐ一直線に爪を切ります。
これにより爪は短くなります。しかしこれでは爪の両側の角が尖っていて危険です。
この角の部分を切り落とすのが、二段階目のスクエアオフです。この時深く角を切り落とさず、1mm程度は爪が残っているようにします。
このスクエアオフの作業が爪切りでは難しい場合、ヤスリを使うと切りすぎることはありません。
足の爪の場合、スクエアオフにすることで、巻き爪の予防ができます。高齢者の場合、加齢による爪の肥厚にプラスして、歩くことが少なくなり、巻き爪になりやすいとされています。
スクエアカットをしてスクエアオフをするのが、一番良い爪の切り方なのです。
爪切りで看護師で訴訟は一審は有罪になり再審で無罪となったのはなぜか?
一審では患者への虐待と認定され有罪になりました。警察の取り調べが不当な物であったり、第三者委員会などの調査不足などもあったようですが、医療者として重要な事は、出血を伴い爪を剥いだと思われる程の爪切りを看護師が他者に相談せずに一人で行ったこと、寝たきりの患者であったが家族の了解を得なかったこと、出血があったにも関わらずそのことをリーダーや、上司、家族に報告しなかったことだと思います。
再審では警察の取り調べや自白の信ぴょう性がなく、また看護師の実施した爪切りは手順や方法も正当な物で、必要な看護行為であると認められたため無罪となりました。
医療はチームです。様々な職種で協力することで、患者に良い医療を提供することができます。しかしそれだけではありません。チームで相談して決めることで、その医療行為の正当性を皆に認めてもらうことができます。
たかが爪切り、と思うかもしれませんが、やはり相談、報告というのは誤解を生まない為にもとても重要です。
爪白癬は爪切りではなく飲み薬と軟膏で治すのが基本?
爪白癬は、痒いなどの自覚症状が出にくく、普通の白癬菌と比べると発見が遅れるという特徴があります。そのため気づいた時には重症化していることが多いのです。白癬がある場合は、爪白癬にも気をつけましょう。
爪白癬の場合、爪が厚くなったり、変形したりして、皮膚トラブルを起こしやすくなります。そのため爪切りで形を整えトラブルを防ぐことが重要となります。しかし、爪切りだけでは爪白癬は治りません。
爪白癬の治療は飲み薬と軟膏が基本です。ただし、軟膏だけでは爪の奥まで薬の成分が浸透しないため、飲み薬による治療が重要となります。
飲み薬で、体の中から白癬菌を殺菌します。最低、爪が生え変わる6ヶ月の間は内服をして治療を続けます。
飲み薬と並行して、軟膏などの処方があることもありますので、医師の指示に従って塗布しましょう。
爪白癬の治療は長い時間がかかります。途中辞めにならないようサポートしていくとともに、内服中の爪切りも看護師の大切な役割です。
爪切り看護の観察項目
爪切りの看護では、爪を短くし清潔と爽快感をもたらすことも必要ですが、爪白癬、巻き爪や深爪、爪の角が皮膚に食い込む陥入爪などを発見することも大切です。
観察項目として、爪の長さ、色、形、厚さ、周囲の皮膚状態が挙げられます。しっかりと観察をしましょう。
爪が肥厚している、表面がボロボロしている、変色している場合は爪白癬の可能性があります。爪白癬はうつりますので、感染対策が必要になります。
その他にも、爪が皮膚を傷つけ、炎症を起こす原因になることもあります。高齢者では爪が変形していることが多く、爪の角が皮膚に食い込んだり、隣の指の皮膚を傷つけることもあります。
爪白癬や爪による周囲の皮膚トラブルは、基本的に皮膚科受診となります。トラブルがないのが一番ですが、早期発見できるよう観察を怠らないようにしましょう。
また、糖尿病患者では足の小さな傷ひとつでも、壊疽につながります。足に傷を作らないためのフットケアや爪切りがQOLを大きく左右します。