採血スピッツの順番と量と色のわけ

なぜ採血スピッツに順番があるのか?

それは、正確な採血結果を測定するためです。
絶対にこれ!というものではなく各施設によって違うかもしれません。ですが、多くは日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が発行「標準採血法ガイドライン」を参考にするところが多いです。日本の採血のガイドラインです。
購入した私の標準採血法ガイドライン
*実際に購入した本

採血スピッツの色はほぼ決まっている

スピッツの種類と色はよく使うものは決まっていますので基本をまずは覚えましょう。
「うす紫色、水色、黒、グレー、緑、黄緑、黄色、赤、茶、白」
と10色です。
よく使うのは…
「うす紫色(血算)、黒(凝固)、グレー(血糖)、茶(生化学)」
と4つのスピッツです。

BDの採血管は、*ISO/JISが推奨のカラーコードより採血管の色決められています。
BDの採血管
BDベクトン・ディッキンソン

テルモの採血管の色も決まっています。
テルモの採血管の色
テルモ

*例えば、生化学といえば「赤か茶」であることが多いですが、水色のようなキャップで生化学のスピッツというのもあります。
生化学のスピッツの色

シリンジ採血でのスピッツを入れる順番

シリンジ採血して、スピッツに分注する順番を説明します。
採血スピッツの順番と量と色
採血スピッツ(採血管)の血を入れる順番

順番 採血管の種類 凝固剤
1 凝固・黒 クエン酸ナトリウム
凝固を調べるため血が固まらないうちに一番先にする。血液が凝固するのに不可欠なカルシウムイオンと結合することにより抗凝固作用を示す。
■検査できる項目
・プロトロンビン時間
・APTT (活性化部分トロンボプラスチン時間) 25.5~36.1 秒
・総ビリルビン 0.4~1.5 mg/dL
・フィブリノゲン 186~355 mg/dL D-Bil
・直接ビリルビン 0.0~0.2 mg/dL
・フィブリン・フィブリノゲン分解産物 5.0 未満 µg/mL
・アミラーゼ 44~132 U/L
・Dダイマー 1.0 未満µg/mL
2 赤沈・オレンジ(橙) クエン酸ナトリウム
 こちらも、血液の凝固を調べるので2番目にする。赤沈フィブリノーゲン・Dダイマー凝固と呼ばれる血中の血液が固まる物質を検査し評価できる。
■検査できる項目
・CRP(炎症反応をみる)
3 緑・黄緑 ヘパリン
 ヘパリンは他の抗凝固剤と違いCaイ オンと結合しないので電解質、血液pH、染色体を調べることができる
■検査できる項目
電解質、染色体分析に適している。また、心筋梗塞の鑑別につ使われる心筋酵素H-FABPの測定などに主に用いられる。アンモニアの測定電解質、血液pH、染色体分析、リンパ球培養等の検査
4 血算・紫 EDTA
 EDTAは血球数などの血液学的検査に最も適した抗凝固剤。
■検査できる項目
・血液型
・BNP(心臓から分泌される酵素で、心機能を評価できる)、血球の数や貧血の検査など
6 血糖・灰色 フッ化ナトリウム、EDTA-2Na
 血液が凝固するのに不可欠なカルシウムイオンと結合することにより抗凝固作用あり。血液を放置すると糖が分解される。そのため正確な糖について調べるには糖の分解を抑制するフッ化ナトリウムで解糖抑制する。さらに、EDTA-2Naを加えさらに凝固防止をさせる。
■検査できる項目
血糖・HbA1Cの検査
7 その他
8 生化学・赤茶
血清管(プレーン管)
EDTA-2Na
 生化学検査は、血液から血球成分を除いた「血清」が必要です。血清は血液を放置して上澄みを採取すれば良いのです。その凝固時間短縮のために、血清分離剤・凝固促進剤が入っています。
■検査できる項目
・生化学
・血液の一般検査(血球数に測定など)ができるためよく検査される

*血算とは、血球算定検査の略語。
*量についてその病院や施設で使うスピッツ(採血管)によって違いますがその採血管に書いてあることがほとんどです。

シリンジ採血でのスピッツを入れる順番の理由は?

まとめて必要な採血量を採ります。
凝固しないよう早く凝固のスピッツから血をいれていきます。抗凝固剤(末血、止血、血糖など)が入っているスピッツから分注しすぐ混和します。

真空管採血の場合スピッツを入れる順番

真空管採血でスピッツ(採血管)に血を入れる順番に書いた画像です。
真空管採血ではスピッツに血液を入れてく順番は生化学が一番最初になります。そのあとは同じです。

  1. 生化学・血清:赤や茶|血清分離剤・凝固促進剤(凝固促進フィルム)入り
  2. 凝固:黒|クエン酸ナトリウム入り
  3. 赤沈:橙 (だいだい) |クエン酸ナトリウム入り
  4. ヘパリン入り: 黄緑・緑
  5. 血糖 :灰色|フッ化ナトリウム(解糖防止作用もあり)
  6. 血算:紫|EDTA入り
  7. その他

真空管採血の場合スピッツを入れる順番の理由は?

真空管採血では針を刺してすぐには組織液が混入してしまいます。この組織液は血液凝固を促進させるので正確な凝固検査ができなくなります。なので1本目に凝固の黒スピッツは不可です。


1本目は凝固しても差し支えないもの、つまり生化(血清)で検査する生化学検査用を採血します。生化学は凝固を促進させる物質がはいっている採血管ですので1本目が最適です。


2本目は凝固、3本目以降は凝固しては困るものから順に採血します。また、凝固検査のみ採血する場合、2本採血し2本目で検査します。

正確な採血データのために順番以外に注意すること

採血スピッツの順番も大切ですが、その他に正確な採血データを測定するために注意すべきことがあります。

転倒混和について

抗凝固剤入りは採血スピッツ(紫・黒・灰・赤沈) は直ちに混和しながら採血をします。生化学の採血管は血球を破壊することもあるので振らなくていいという人もいますが、テルモ、日本ベクトン・ディッキンソンからでている採血管がありますが、しっかり以下のように転倒混和を5回、もしくは5回以上することと書いてあります。その採血管をふる理由はどちらの容器にも血液の凝固を促進するもの凝固促進剤が入ってますので振らないと正確なデータがでません。

https://www.sekisuimedical.jp/business/diagnostics/tube/insepack.html

https://www.bdj.co.jp/pas/products/mekkin/index.html

駆血帯の巻いている時間

駆血帯で長い時間締めるということが血液の流れを止めています。
そのため組織液が混入しやすく、血液の細胞成分が血管に滞っているので、「凝固検査、ヘモグロビン、白血球数」などの検査の値が変化がおきてしまいます。
→そのため、正確な採血データのためにはできるだけ駆血帯で縛っている時間を少なくすることが重要です。

穿刺直後は血液流出が激しい

穿刺した直後は血液流出にも勢いよく採血できます。しかし、だんだんと採血できる血の勢いは弱まりので採血管への流入にも時間がかかってしまいますね。時間がかかるので、血小板や白血球の凝集が起こりやすく凝固しやすいので抗凝固剤が入っている採血管のデータは正確ではなくなってしまいます。

抗凝固剤が入っているものといない採血管の分類

・採血管には抗凝固剤が入っているものといないものがあります。また、抗凝固剤はいくつかの種類があります。
・採血スピッツはなぜ1本できず、様々な色のスピッツで検査するのかというと血はそのままにしおくと約30分ほどで採血した血は固まってしまいます。そのため、さまざまな抗凝固剤を使い血が固まらないようにしています。

・検査したい項目により、「血液(全血)・血漿・血清」のいずれかを使って検査します。そして時間経過で検査したい値が変化してしまう検査項目や温度によっても変化する検査項目があるため様々な種類の採血管を使用して検査するのです。

抗凝固剤が入っている採血スピッツ

・血球数
・血液学的検査
・血糖検査
・凝固系検査
・電解質
・血液pH
・リンパ球培養等の検査
・染色体検査
の採血スピッツは抗凝固剤が入っています。

抗凝固剤が入ってない採血スピッツ

・生化学
・内分泌
・感染症
・自己抗体
・腫瘍マーカー
の採血スピッツは抗凝固剤が入っていません。

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*ISO規格は、ISO(International Organization for Standardization: 国際標準化機構)が作成した国際規格です。

*JISは、Japanese Industrial Standards の略で、日本工業規格です。