目的
・関節内の血腫形成、最近感染の予防のために血腫吸引除去
・関節内の腫脹による疼痛軽減
・関節内の貯留液(血液、膿、手術時に使用した洗浄液)の排出
・貯留液の性状確認
適応
・人工骨頭置換術後や人工股関節置換術後の骨切り部や軟部組織からの血液を排液させたい場合
ドレーンの種類
バックを用いる閉鎖式ドレーン(SBバック、リリアバック、J-Vacなど)
・ドレーン先端が滅菌バックに連結されているため外気にふらないため感染しにくい構造である
・ガーゼ交換時には、挿入部の状態やドレーンがぬけていないか、バックの貯留量や色を確認する
・患者の体位変換時や移動時はドレーンを抜去しないように注意する
・ドレーンの自己抜去に注意する
*バックを用いない開放式ドレーン(ペンローズドレーンなど)の挿入は
感染の危険が高くと排液量も多いため使用されることはほぼない
挿入位置と挿入経路は?
・術中に大腿骨骨頭置換し、洗浄し、縫合時に関節内のドレーンの先端を留置してから皮膚を貫通してドレーンを体外に出す
固定方法は?
・チューブが抜けないように、ドレーンと皮膚を糸で固定(締結固定)
・ドレーンを糸で固定したら、Yガーゼでドレーンをはさみ、挿入部含めた創部全体をガーゼで覆い固定テープを貼る
抜去時期は?
・ドレーンは身体にとって異物であるため、48時間以上関節内にドレーンを留置すると、ドレーン自体感染源になる可能性がある
・これにより、原則48時間以内に抜去する。多くは1日で、出血も減るためドレーン抜去していいと医師の判断がでることも多い。
排液の性状
・手術直後は、血性であるが術後1日目から徐々に淡黄色・漿液性に変化し、量も変化する
排液の量
・出血量が100ml/時以上の場合、バイタルサインを測定し医師に報告する
ドレーン管理のポイント
・開放式ドレーンは、清潔度が閉鎖式ドレナージに比べて低く、不潔になりやすいために、近年、化膿性関節炎での緊急排液目的以外では使用される頻度はすくなくなっている。
・ドレーン抜去時期は、排液の性状、量や色、培養結果、、血液データにより抜去するため観察することが必要になる
・ドレーン留置による感染は、2つある。
1、排液がうまく排出されず、体内に貯留し、そこに菌がたまってしまう場合
2、体外の菌が、なんらかのルートでドレーン内に侵入し菌が体内にはいり感染するおそれ
・ドレーンバックがいっぱいになれば、排液の必要があるが逆流に気をつけて排液を行う
・人工関節の感染は極めて重大で、難治性がある。最悪の場合には、挿入したインプラントを抜去し、再手術する可能性がある
・人工股関節置換術後にドレーンを挿入しなくても、出血量、在院日数、創部感染の頻度、創部治癒などの差がドレーンを入れても入れなくても変わりがないとの報告もある
↓このこともあってか、ドレーンを抜去される事故があった場合に再挿入するkとは少ない。
・ドレーンが屈曲、捻転、圧迫されていないかを確認する
・陰圧設定の指示があれば、適時確認する
・ドレーンとドレーンバックの連結部は抜けないようにテープで補強するとよい