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乳腺炎とは?

簡単にいうと、胸が痛みがあり、高熱を伴うのが乳腺炎である。

乳腺炎の種類がある?

急性乳腺炎で2つにわけられる。

①うっ滞性乳腺炎(うつ乳ともいう)
・乳腺房からの排出を阻害された母乳成分は乳腺間質に移行して局所的な腫脹がみられる
・熱感を感じることがあるが発赤はみられないことが多く、片側性に発症が多い
・治療は、乳汁のうっ滞が原因なため、うっ滞を除去することで症状は改善していくことが多い。搾乳、授乳、マッサージを行うことが基本となる。
・抗生物質や鎮痛剤の薬物療法。(乳腺炎の症状があまり強く、発症から24時間未満の場合には、薬物療法をおこないドレーンは挿入しないことが多い)

②急性化膿性乳腺炎
・乳房内が細菌に感染すること。
・産褥期の2~3週間後〜産褥6週までの発症が多い。
・膿性の乳汁の細菌培養検査から菌が検出される。起炎菌は黄色ブドウ球菌が最も多く約40%、ほかにβ溶血性連鎖球菌、大腸菌、肺炎球菌、真菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などがある。
・乳房内に細菌が感染することが原因です。
・乳頭の亀裂や表皮剥脱、かみ傷などの小さな傷から細菌が侵入し、リンパ液の流れにのって乳房に逆行性による感染がおこる。

症状は?

・突然の悪寒・震えをともなう、38℃以上の高熱が出る。
・乳房は赤くなって、腫脹する。
・乳房の内側が熱があり痛みもはげしく、押すと痛くしこりを触れる。
・腋窩下のリンパ節が腫れて痛むことも多い。
 

治療は?

・抗生物質や鎮痛剤の薬物療法。(乳腺炎の症状があまり強く、発症から24時間未満の場合には、薬物療法をおこないドレーンは挿入しないことが多い)
・乳汁うっ滞を解除することが重要なため搾乳、授乳、マッサージを行う。
・膿瘍ができているときは、膿瘍部の皮膚を切開して排膿します。

乳腺炎ドレーン挿入の目的

乳腺炎による膿瘍内容物の排膿
膿瘍がなければドレーンは挿入しない

乳腺炎ドレーン適応

・膿瘍が形成されいる乳腺炎

乳腺炎ドレーンの種類

・ドレーンバックを用いない開放式ドレーン
・ペンローズドレーンが多く用いられる
ペンローズ

乳腺炎ドレーン挿入位置と挿入経路

・膿瘍直上でメスで切開し、膿瘍内腔にドレーンを留置

乳腺炎ドレーン固定
・Yガーゼでドレーンをはさみ、固定糸や安全ピンでずれないようにする。
・ガーゼと固定テープで固定する

乳腺炎ドレーン抜去時期

・排膿の量が減少し、漿液性となり炎症反応が改善すれば抜去可能である

乳腺炎ドレーンの排液の性状

膿汁、粘稠性
切開処置後に排液される、膿汁はかなり粘稠であるが排膿が進むとさらさら状の性状となる。
・膿汁の色が変化したら培養を行って菌種の確認する

乳腺炎になったら授乳はできる?

乳腺炎、膿瘍のある場合でも授乳を継続することは,その女性の回復と子供の健康にとって重要である。授乳中止は乳腺炎の回復には役立たず、かえって状態を悪化させる危険が生じる。さらに,授乳中止は,その女性に大きなストレスを与えることもあるとWHOの文献でも報告されいる。
*ドレーンチューブが乳輪から離れていて授乳に差し支えなければ授乳は継続でる

乳腺炎になったら膿瘍は発生する?

・乳腺炎の症状が続き、局所の発赤腫脹が著しい場合は膿瘍の形成を疑う。
・乳腺炎になった母親の4%から11%が膿瘍形成に至っている

乳腺炎となり膿瘍形成した場合のドレナージ

超音波診断にて膿瘍形成を確認し、穿刺による排膿もしくは局所麻酔下に切開
排膿して創部からのドレナージを行う。切開部は縫合せず,持続ドレナージが可能なようにガーゼやドレーン等を挿入しておく。1~2週間で切開部は内部から
治癒していく

乳腺炎となり膿瘍形成した場合のドレナージによる培養検査とは?

結果をもとに起炎菌に対応した抗生剤や解熱鎮痛剤にを服薬する。
膿瘍治療中も乳腺炎時と同様に授乳を継続することが勧められていて、服薬もする。

切開排膿ドレーンのケアのポイント

1、切開排膿した場合は、創部清潔に保ち、ドレナージを継続する。

2、炎症を増悪させないよう注意深く用手搾乳、排膿を行う。

3、授乳ができない場合、乳汁の鬱滞しやすいため,分泌維持のために搾乳する必要がある。

4、切開から24時間以降、母体の状態がよければシャワーを浴びて細菌を
洗い流し、清潔に保つことが必要である

5、医療者手指洗浄・消毒行い感染予防に努める。
授乳を継続しながら、乳児の感染していないかを継続的に観察する必要がある。

参考文献
*Riordan, 2010
*WHO. 2000
*ABM
*Lawrence, 2010