ICU症候群の診断は?

ICUに入院中で、ICU症候群特有な不眠や幻覚、妄想、高度な不安、錯乱状態、抑うつ状態などの症状が現れてくれば、ICU症候群だと診断されます。

ICUで治療を受ける患者の10~20%の人にこのような精神障害が起こるといわれています。

しかし、近年ではICUにいる患者に限らずこのような症状がでることから、この名称がふさわしくないのではないかという意見も強まっています。

それは、医学的にはこのような症状である認知障害をともなった意識障害を「せん妄」と呼ぶからです。
もちろん、ICUという閉塞的な環境の中でこのような症状であればICU症候群といってもいいでしょう。
しかし、他のせん妄などの精神障害との違いは十分に把握することが必要です。

原因は?

・これからどうなるかという不安と誰にも会えない孤独感などから、ICU症候群特有の症状、高度の不安・焦燥・せん妄・錯乱・抑うつ状態などがおこります。
・ICU特有の医療計測機器への様々な配線やその機械音、酸素マスクが装着、拘束状態でベッドから自由に身動きがとれないこと。
・家族との面会の制限。

治療方法は?

ICU症候群またはせん妄の患者は、睡眠と覚醒のサイクルの障害を伴います。
ときには、昼夜逆転する患者もおおいです。

そのための対策としては?

①音楽や映像、照明などの室内環境を工夫する
それでも、症状の改善がみられない場合は
薬物療法で睡眠をコントロールする
*ただの眠剤ではなく、心配や不安のために十分な睡眠がとれなくなっているので、先ずは向精神病薬などの薬物療法で睡眠を取らせます。
例:ハロペリドールなど

注意点は?

・病状について不安が募る場合は、できるだけ安心できる丁寧な説明をします。
・孤独が原因となることもあるので、家族と面会の機会を多くとります。
・手術後、目がさめてから不安にならないようにします。
・ICUで自分の身体に対する不安から、もうすぐ自分は死んでしまうのではないかと恐怖心を抱くようになります。