環境問題や医療コストの面から笑気ではなく空気を用いた低流量麻酔(AOS)が
求められてきている。
そのため笑気の代用として窒素を用いたいがそもそも純粋な窒素というのは麻酔用のガスでは存在しない。そのために空気を使用するのだ。
空気は、中央配管では、麻酔ガスの排除用や吸引でひかれているためわざわざもってくる必要もなく使うことできます。
GOSとAOSとPOSとは?
GOSは、笑気+酸素+セボフルラン
G: Gas 笑気(昔、笑気はガスと呼ばれていたらしく”Gas”の頭文字になります)
O: Oxygen 酸素
S: Sevoflurane セボフルラン 吸入麻酔薬
AOSは、空気+酸素+セボフルラン
A:air 酸素21% 窒素79%
O:oxygen 酸素100%
S: Sevoflurane セボフルラン 吸入麻酔薬
POSは、プロポフォール+酸素+セボフルラン
P:Propofol 1mg/kg/hr
O:oxygen 酸素100%
S: Sevoflurane セボフルラン 吸入麻酔薬
窒素と笑気ガス(亜酸化窒素)は違うのか?
化学式も似てるようで全然違います。
窒素 N2
笑気ガス N2O
実際の麻酔方法はどのくらいの割合で採択されているか?
麻酔維持をどの麻酔方法で行っているのかという調査では…..
(北海道勤労者医療協会医学雑誌での調査より)
・AOS による症例(麻薬またはプロポフォールとの併用を含む)は 1485 例
・GOS による症例は 858 症例
・全身麻酔症例の 78.0%がセボフルランを用いて麻酔維持されていた。
・プロポフォールとフェンタニルあるいはレミフェンタニルによる全静脈麻酔(TIVA)は 260 例(8.7%)だった。
これをみても低流量麻酔が圧倒的に多いことがあきらかで今後いっそう低流量麻酔が一般化となっていくでしょう。
2011年から使用許可がでた吸入麻酔薬「デスフルラン」とは?
セボフルランの代わりに新しい吸入麻酔薬「デスフルラン」が2011年から使用許可となりました。
日本以外でははやくから使用されていて覚醒がよく回復はいいと多くのエビデンスが発表されています。
デスフルランの特徴
・麻酔中の維持濃度がいいため高齢者や長時間の手術に用いられる
・麻酔からの覚醒がはやいため抜管までの時間が短い
➡︎そのためデスフルランは術後合併症を起こすリスクも低く特に覚醒がよく回復はいいことは呼吸器の術後合併症がセボフルランよりリスクが低いというデータがある。また、手術が終わってから手術室からでるのが5分早くなったというデータもあり、患者のリスクや負担とともに麻酔科医や看護師の負担も軽減できます。
麻酔科医の中では、デスフルランによる低流量麻酔が注目されていて今後の主流になっていくでしょう。
適用となるのは2時間以上の麻酔を必要する場合であるが、デスフルランがセボフルランより薬価も安いことからも最近の流行りであるエコで覚醒をよい麻酔ができることから今後主流になっていくのではないかと思う。
デスフルランを用いた場合は、AOD,GODという表記なります。
実際、麻酔は術者の意見もあるが基本的に麻酔科医が決定するため、麻酔科医によりますので最近のトレンドやエコ麻酔を求めるもしくは麻酔科医の年代など様々な麻酔方法が行われているようです。
でも、確実に麻酔薬も新しい薬も登場しますし、病院側からのコスト削減の要望などもありますので変わっていくことでしょう。
2015年厚生労働省は、「亜酸化窒素(N2O)」を指定薬物に指定したのはなぜか?
「亜酸化窒素」若者の間で風船に詰めたガスを吸う遊びなどに使われる“笑気ガス”と呼ばれる「亜酸化窒素」が、中枢神経へ深刻な害を及ぼす危険性があるということで指定されたのです。