男性の不妊の検査
不妊症カップルの50%程度には男性側の原因といわれている。
WHOラボマニュアルより
(1)精液検査
精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検討します。精液は、2-7日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、用手法(マスターベーション)で全量を採取します。病院で取るのが望ましいのですが、20℃から30℃程度に保持することが出来れば、自宅で採取して2時間以内に検査すればほぼ病院で採取した場合と同様の結果が得られることが多いと言われています。
男性の精液性状は日に日に変動するため、悪い結果が出た場合でも、再度検査をして問題ないとされることもあります。なお基準値は、近年世界標準が変更されました(表1)。
(2)泌尿器科的検査
精液検査で異常を認めた場合に行います。
①診察
不妊症に関連する病気の既往の有無、勃起や射精などの現在の性生活の状況を確認するとともに、精巣(こう丸)などの外陰部の診察、精巣サイズの測定、男性不妊症の原因として最も頻度の高い精索静脈瘤の有無などを触診で行います。
②内分泌検査
血液中の、男性ホルモン(テストステロン)や性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、場合によってはプロラクチンなどを調べます。これによって精液異常の原因を検索することができますし、勃起障害や射精障害がある場合にもぜひとも必要です。
③染色体・遺伝子検査
精子数が極端に少なかったり無精子症の場合には、染色体検査や遺伝子検査をお勧めすることがあります。染色体の軽微な変化や遺伝子異常が、精子形成障害の原因になっていることがあるからです。また、精巣内精子採取術などの治療の可能性を検討するうえでも大切です。
④特殊な検査
精子の機能を調べる検査、精嚢や射精管の形態を調べるMRI、精巣での精子形成の状態を詳しく調べる精巣生険、勃起能力を調べる検査などが、病状によって行われます。
検査項目 | 下限基準値 |
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精液量 | 1.5ml以上 |
精子濃度 | 1500万/ml以上 |
総精子数 | 3900万/射精以上 |
前進運動率 | 32%以上 |
総運動率 | 40%以上 |
正常精子形態率(厳密な検査法で) | 4%以上 |
白血球数 | 100万/ml未満 |