体内あるいは目標部位に到達してから代謝されることで効果を表す薬。
代謝されないとプロドラッグは薬として効果がない。
主な目的は
薬の安定性向上
胃腸障害の軽減
吸収性の向上
作用の持続化
臓器選択性の向上
プロドラック化の例
昔から使われている抗がん剤としてフルオロウラシルは半減期は約10分であるため、そのままの状態では作用時間がとても短いためそれが欠点でした。
そこで、フルオロウラシルにプロドラッグ化(化学を勉強した方は分かると思いますが、エステル化とよばれるものです)しテガフールとしました。
テガフールを服薬すると胃では代謝されず肝臓の代謝酵素によって徐々にフルオロウラシルへと変換されます。テガフールの半減期は約7.5時間で、テガフールが肝臓の代謝酵素により抗がん作用を示す有効成分フルオロウラシルへと変化するまでの時間。
プロドラッグ化により抗がん剤の作用する時間の持続化が得られました。
フトラフール(テガフール)
*薬の半減期とは、薬の全体量が半分になるまでの時間です。
薬の代謝・排泄されていく時間がわかります
プロドラッグの代表例
それぞれの目的ごとに、プロドラッグ化されています。
プロドラッグ | 親薬物 | プロドラッグ化の目的 |
---|---|---|
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(商品名:ソル・コーテフ) | ヒドロコルチゾン | 水溶性(溶解速度)増大 |
エリスロマイシンエチルコハク酸エステル(商品名:エリスロシンW顆粒・ドライシロップ) | エリスロマイシン | 胃酸による失活防止 |
インドメタシン ファルネシル(商品名:インフリーカプセル) | インドメタシン | 消化管への副作用軽減 |
セフテラム ピボキシル(商品名:トミロン) | セルテラム | 吸収改善 |
バカンピシリン(商品名:ペングッド) | アンピシリン | 吸収改善 |
フルスルチアミン(商品名:アリナミンF) | チアミン | 吸収改善 |
ベタメタゾン吉草酸エステル(商品名:デルモゾール) | ベタメタゾン | 吸収改善 |
アラセプリル(商品名:セタプリル) | カプトプリル | 作用持続化 |
ハロペリドールデカン酸エステル(商品名:ハロマンス) | ハロペリドール | 作用持続化 |
レボドパ(商品名:ドパストン) | ドパミン | 脳移行性の改善 |
そこで疑問がでてくるかと思います。
なぜ、ロキソニンは胃荒れしやすいのか?
ということです。
看護師であれば、服薬指導の際胃が荒れやすいため何か食べてからにしてください。とか、医師の処方によってはセルベックスなどの薬を出すことも多いですのでその説明もしているかと思います。では、なぜかというとプロドラッグ化したロキソプロフェンは、胃を通過するときの作用を防ぎ胃で代謝されず作用することはなくなりました。しかし、胃を通過し体内に吸収され代謝した後、身体中の血液をめぐって胃にも作用してしまいます。そのため、胃に作用し強い薬なので胃荒れしやすいのです。